徳島県立鳴門高等学校
チームの特徴
徳島県は全国的にも珍しい「公立王国」で、徳島商業・徳島市立といった公立校が県内の覇権を争い続けています。鳴門高校サッカー部は、その二強に挑み続ける「第三の極」として歴史を刻んできた伝統校です。1908年(明治41年)創立の同校は野球部の甲子園常連校として全国的に知られますが、1970年創部のサッカー部もまた、限られた環境の中で度々全国大会の切符を手にしてきました。
スタイル: チームを象徴するキーワードは「少数精鋭」です。100名を超える部員を抱える私立強豪校とは対照的に、鳴門の部員数は歴史的に26〜36名程度。この制約を逆手に取り、指導者の目が全選手に行き届く密度の高いトレーニングで戦術理解度を高めてきました。プレースタイルは、コンパクトな陣形から全員が連動してプレッシャーをかけ、奪ったボールを一気に前線へ運ぶ「堅守速攻(ハイインテンシティ・ショートカウンター)」。技術やフィジカルで上回る相手にも、組織力と運動量で対抗します。
専用人工芝も寮もなく、他部と土のグラウンドを共有する典型的な公立環境ですが、朝練や短時間・高強度のメニューで環境のハンデを補っています。
主な実績
| 大会 | 最高成績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | 2回戦進出 | 2002年度(第81回)全国初勝利 |
| インターハイ(全国高校総体) | 出場 | 2026年・12大会ぶり4度目の全国出場 |
| インターハイ徳島県予選 | 優勝 | 2026年・第66回大会 |
| 全国高校サッカー選手権 | 出場 | 2012年度(6年ぶり3回目) |
チームの歩み
創生期(1970年〜)
サッカー部は1970年に創部。当時の徳島県は徳島商業が絶対王者として君臨し、後発の鳴門が県内で覇権を握るのは容易ではありませんでした。校内でも実績のある野球部にグラウンドや予算の多くが割かれる中、歴代の指導者は走力と組織力をベースにした堅守速攻のDNAを少しずつ植え付けていきました。
全国初勝利(2002年度)
2002年度の第81回全国高校サッカー選手権で、初戦に水橋(富山)を1-0で破り、悲願の全国大会初勝利(2回戦進出)を達成。2回戦では強豪・滝川第二(兵庫)に1-2で惜敗したものの、組織的な戦いぶりは高い評価を受けました。徳島の公立校が全国でも通用することを示した一勝です。
堅守速攻の完成形(2012年度)
香留和雄監督が率いた2012年度には、6年ぶり3回目の選手権出場を達成。県予選準決勝で城ノ内を10-0、決勝で宿敵・徳島商業を3-2で下しました。部員わずか26名という大会参加校中「最少」の陣容で全国に挑む姿は、多くのファンの共感を呼びました。
12大会ぶりのインターハイ出場(2026年)
2026年、現体制で新たな黄金期を迎えます。徳島県予選の準決勝で12連覇を狙う絶対王者・徳島市立を1-0で撃破する大番狂わせを演じると、6月8日の決勝で徳島商業を2-1で下し、12大会ぶり4度目の全国大会(福島インターハイ)出場を決めました。
強さの3本柱
① 「少数精鋭」のパラドックス
部員が少ないことは一般にデメリットとされますが、鳴門ではトップチームとサブ組の戦術理解度の差が小さく、チーム戦術の浸透が圧倒的に速いという強みに変わっています。
② 地元密着の強固な一体感
スポーツ推薦がなく、選手の大半は鳴門市周辺の地元出身。長年一緒にプレーしてきた「幼馴染み」の阿吽の呼吸が、組織的なプレッシングとショートカウンターを支えています。
③ 危機を乗り越えた結束力
2026年6月、当時の監督が暴言・体罰問題で謹慎処分となり、インターハイ直前にチームを率いる者を失う緊急事態に直面。部長だった岡田将和監督(当時32歳)が急遽指揮を執り、戦術変更よりも「公立校の良さである一体感」を引き出すマネジメントでチームを再結束させ、その直後の県予選優勝につなげました。
輩出した主なプロ選手
| 選手名 | 主な所属 | 備考 |
|---|---|---|
| 尾上勇也 | 徳島ヴォルティス、愛媛FC、カマタマーレ讃岐 ほか | 鳴門市出身。国内各カテゴリーで通算124試合20得点 |
| 石川雅博 | 徳島ヴォルティス、アルビレックス新潟シンガポール ほか | DF。守備の要として長くプレー |
| 中尾慶心 | BTOP北海道 ほか | 2016年に18歳で単身イタリア(ポンサッコ)へ渡り、ノルウェー・ドイツ・FC徳島を経た異色のキャリア |
※徳島県出身の著名選手でも、實藤友紀(元川崎ほか)は城南高校、尾上瑠聖(徳島ヴォルティス)は鳴門渦潮高校の出身で、いずれも鳴門高校のOBではありません。また2026年W杯の日本代表に鳴門高校出身のOBは含まれていません。
2026年の注目選手
| 選手名 | 学年 | ポジション | 身長 | 前所属 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| 東谷勇輝 | 2年 | GK | 178cm | プルミエール徳島 | 安定したセービングと的確なコーチングを誇る守護神 |
| 河村太暉 | 2年 | DF | 179cm | 上板中学校 | 身体能力が高く、空中戦・対人戦に絶対の自信を持つCB |
| 伊勢川蓮 | 2年 | DF | 175cm | 鳴門第一中学校 | スピードと広範囲のカバーリング能力に秀でたDF |
| 大黒暖翔 | 2年 | DF | 174cm | 鳴門第一中学校 | 守備の要。四国S-2リーグ等でMOM獲得経験あり |
| 橋本啓太 | 2年 | MF | 172cm | 鳴門第一中学校 | 中盤の底からゲームをコントロールし、得点力も備える |
| 張間尋路 | 2年 | FW | 176cm | 鳴門第一中学校 | 前線のターゲット役。裏抜けからの得点力が高い |
| 真田大輔 | 1年 | DF | 174cm | 鳴門第一中学校 | 1年生ながら最終ラインに食い込む期待のルーキー |
| 林真矢 | 1年 | MF | 172cm | 鳴門第一中学校 | 中盤でのハードワークとパスセンスが光る |
| 谷田龍星 | 1年 | MF | 172cm | 鳴門第一中学校 | 攻撃的なポジションで積極的にゴールを狙う |
※注目選手は、2008年4月2日以降生まれ(=2026年度に高校1・2年生)の現役選手のみを掲載しています。学年・ポジションは2026年シーズンのU-16/四国S-2リーグ等の公式記録と照合済みで、すでに卒業した選手の混在はありません。地元・鳴門第一中学校出身者がチームの骨格を成しているのが大きな特徴です。
2026年インターハイ徳島県予選(第66回県総体)
監督交代の直後という難しい状況の中、鳴門は2回戦から決勝まで無失点に近い堅守で勝ち上がり、12大会ぶり4度目の全国出場を決めました。
| ラウンド | 日付 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2回戦 | 6/5 | 徳島科学技術 | ○ 2-1 |
| 準々決勝 | 6/6 | 富岡西 | ○ 2-0 |
| 準決勝 | 6/7 | 徳島市立 | ○ 1-0(12連覇を狙う王者を撃破) |
| 決勝 | 6/8 | 徳島商業 | ○ 2-1 |
優勝チームは、2026年7月25日〜8月1日に福島県(Jヴィレッジほか)で開催される全国高校総体(インターハイ)に徳島県代表として出場します。
リーグ戦について(2026年)
鳴門高校は2016年度などにプリンスリーグ四国へ参戦した実績がありますが、2026年現在はプリンスリーグ四国には所属しておらず、徳島県内のトップリーグである「高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 徳島県Tリーグ」を主戦場としています。(インターネット上で「鳴門」とプリンスリーグが結び付けられることがありますが、これは試合会場として鳴門・大塚スポーツパーク球技場が使われているためで、鳴門高校自体の試合結果ではありません。)Tリーグの試合結果は、シーズンの進行に合わせて随時更新していきます。