大分高等学校
チームの特徴
大分県には大分トリニータU-18というJクラブの下部組織に加え、大分鶴崎・中津東・柳ヶ浦といった伝統校がひしめき、全国屈指の激戦区を形成しています。1952年創立の私立・大分高校は、この激戦区で全国高校サッカー選手権の県予選優勝8回、インターハイ通算14回出場を誇る強豪です。才能ある選手を外から集めるだけでなく、「自分で考える選手」を内部から育て上げる育成機関としての色合いが濃いのが大きな特徴です。
スタイル: チームの土台にあるのは、かつて朴英雄(パク・ヨンウン)監督が持ち込んだ「フリーマンサッカー」の哲学です。選手をシステムの歯車に固定せず、ピッチ上の状況に応じて流動的にポジションを変え、選手自身が判断してプレーする——この「ピッチ内で選手が考え、決断する」DNAが、後任の指導者たちに受け継がれてきました。試合では、相手が前から強く来れば堅守速攻でラインを破り、相手が引けばボールを保持して崩す。この切り替えを、ベンチの指示ではなくキャプテンを中心とした選手たちの判断で行います。
近年は専用フィジカルトレーナーと連携した科学的トレーニングや、対戦相手の映像分析も導入。提示された分析を選手自身が納得した上でピッチに立つという、主体性を重んじる指導が貫かれています。
主な実績
| 大会 | 最高成績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | ベスト4 | 2011年度(第90回)・大分県勢史上初 |
| インターハイ(全国高校総体) | 出場 | 2026年・5大会ぶり14回目の全国出場 |
| インターハイ大分県予選 | 優勝 | 2026年・第74回大会 |
| 全国高校サッカー選手権 | 県予選優勝8回 | 2018・2019年度は2年連続全国出場 |
チームの歩み
創生期(1952年〜)
1952年創立。当時の大分県は古豪の公立校が覇権を握り、新興の大分高校が割って入る壁は高いものでした。県上位には進んでも全国の切符を勝ち切る力が不足していた時期に、強豪相手にどう戦うかを模索する中で、強靭なハングリー精神が培われました。1990年代のJリーグ開幕と地元・大分トリニータ(旧・大分トリニティ)の誕生で県内のサッカー熱が高まると、本格的な強化体制へと舵を切ります。
朴英雄監督の「フリーマンサッカー」
飛躍の最大の転換点が、韓国出身の朴英雄氏を32歳の若さで監督に招いたことです。複雑な戦術を押し付ける前にサッカーの原理原則を徹底的に叩き込み、選手がピッチ内で自立してプレーする力を劇的に高めました。
全国ベスト4(2011年度)
朴監督が率いた2011年度(第90回)全国高校サッカー選手権で、ノーシードから流動的なパスワークを武器に強豪を次々と撃破し、大分県勢史上初の全国ベスト4(準決勝進出)を達成。地方の私学が一貫した哲学を持てば全国の頂点を狙えることを証明しました。
哲学の継承(2016年〜)
2016年夏、朴監督の帰国に伴い、教え子で元Jリーガーの川崎元気氏が後任に。「選手に考えさせる」DNAを受け継ぎつつ、「認知・判断・実行」のプロセスを追求する「問いかける育成」へと進化させました。
5大会ぶり14回目のインターハイ(2026年)
2026年のインターハイ大分県予選を制し、5大会ぶり14回目の全国出場を達成。決勝では堅守の中津東を相手に1-0で競り勝ち、トーナメントを勝ち抜く勝負強さを示しました。
強さの3本柱
① 中高一貫による6年間の育成
併設の大分中学校サッカー部とのシームレスな連携が最大の強み。高校入学時点で戦術の言語や概念が共有されているため、高校3年間を高度な戦術理解とフィジカル強化に集中できます。実際、現在のチームも大分中出身者が骨格を形成しています。
② 寮生活と「部屋替え」文化
学校から自転車10分の専用寮を完備。3〜4ヶ月ごとに「部屋替え」を行い、学年やポジションを越えたコミュニケーションを意図的に生み出しています。流動的な連携を求めるスタイルにおいて、ピッチ外の人間関係づくりが連携の質に直結します。
③ 内部進学生と外部クラブの融合
大分中からの内部進学生に、大分トリニータU-15・カティオーラFC・ブルーウイングFC・ヴェルスパ大分といった県内有力クラブの出身者が合流。異なる環境で育った選手たちが融合し、健全な競争と化学反応を生んでいます。
輩出した主なプロ選手
| 選手名 | 主な所属 | 備考 |
|---|---|---|
| 重見柾斗 | アビスパ福岡(J1) | 福岡大経由。U-22日本代表でアジア大会準優勝に貢献したパリ五輪世代 |
| 堤聖司 | 福島ユナイテッドFC → 日本製鉄大分 ほか | 高校卒業時にJ3福島へ。ラインブレイクを得意とするFW |
| 山口卓己 | 鹿児島ユナイテッドFC → 大分トリニータ | 大分中・大分高の純正育成。中盤の組み立て役 |
| 内村圭宏 | コンサドーレ札幌 ほか | 長年活躍したストライカー |
※2026年W杯(北中米大会)の日本代表に、大分高校出身のOBは選出されていません。今後、重見柾斗らのJリーグでの活躍次第でA代表入りが期待されます。
2026年の注目選手
| 選手名 | 学年 | ポジション | 出身 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 後藤暖翔 | 3年 | MF/FW | 大分中学校 | 2026年インターハイ予選決勝(中津東戦)で決勝点を挙げたチームの中心 |
| 羽田野雄大 | 3年 | GK | 大分中学校 | 最終ラインを統率する守護神 |
| 大河聡 | 3年 | DF | 大分中学校 | 守備の要を担うセンターバック |
| 椎原吟峨 | 3年 | MF | 大分中学校 | 中盤でゲームを組み立てる |
| 佐藤凛太朗 | 3年 | MF | ヴェルスパ大分 | 外部クラブ出身の技巧派ミッドフィールダー |
| 安部太智 | 2年 | DF | 大分中学校 | 下級生から最終ラインに食い込む有望株 |
| 小野涼成 | 2年 | MF | 大分中学校 | 中盤で運動量と展開力を発揮する2年生 |
※注目選手は、2026年2月の九州U-17サッカー大会(新人戦)の公式登録メンバーと、2026年6月のインターハイ予選決勝の試合レポートをもとに、2026年度に在籍している現役選手のみを掲載しています。お預かりした調査資料の選手一覧は2025年度時点の名簿で学年が1年分ずれており、すでに卒業した世代が含まれていたため、最新の一次情報で取り直しました。
2026年インターハイ大分県予選(第74回県総体)
1回戦をシードで免除され、2回戦から登場。序盤は大量得点で圧倒し、準々決勝以降は県内の強豪との接戦を堅守で勝ち切りました。
| ラウンド | 日付 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2回戦 | 5/17 | 楊志館 | ○ 7-0 |
| 3回戦 | 5/23 | 宇佐 | ○ 9-0 |
| 準々決勝 | 5/30 | 大分工業 | ○ 2-1 |
| 準決勝 | 5/31 | 柳ヶ浦 | ○ 4-0 |
| 決勝 | 6/1 | 中津東 | ○ 1-0(後藤暖翔のゴール) |
優勝チームは、2026年7月25日〜8月1日に福島県(Jヴィレッジほか)で開催される全国高校総体(インターハイ)に大分県代表として出場します。あわせて全九州高校サッカー大会への出場権も獲得しました。
リーグ戦について(2026年)
大分高校は過去にプリンスリーグ九州2部で戦った実績がありますが、降格に伴い、2026年現在は大分県内最高峰の「高円宮杯 JFA U-18サッカーリーグ 2026 OFAリーグ大分1部」に所属し、プリンスリーグ九州への再昇格を目指しています。(2026年のプリンスリーグ九州に所属する大分県のチームは、大分トリニータU-18のみです。)OFAリーグの試合結果は、シーズンの進行に合わせて随時更新していきます。