宮崎県の高校サッカーシーンをDr.Kazu Soccerが解説。鵬翔高校(興梠慎三・増田誓志)時代から、現在の日章学園・宮崎日大の二強体制、そして中高一貫校時代の到来まで、観戦者の視点から振り返ります。
【宮崎県高校サッカー特集・前編(物語編)】 この記事は、鵬翔が全国制覇を果たした時代から現在までの宮崎の系譜を観戦者の目線でたどる前編です。日章学園・宮崎日大・鵬翔それぞれの指導哲学・戦術・育成システムを分析した後編は【2026最新版】宮崎県高校サッカー3強の力関係、最新の県リーグ順位は宮崎県ページをご覧ください。
高校サッカーを観るのは、私にとって長年の趣味です。
私自身、西日本のとある高校のサッカー部出身。補欠で出場機会はほぼなかったのですが、夏のインターハイで全国に出場した際には応援団として現地に行きました。あの全国の空気感は、今も忘れられない原風景です。
それ以来、毎年のインターハイ・選手権はずっとチェックしてきました。中でも学年の近かった鹿島アントラーズの増田誓志選手(宮崎県・鵬翔高校出身で、興梠慎三選手の一つ上の世代)の動向を追いかけ続けるうちに、いつしか宮崎の高校サッカーそのものが好きになっていました。
そんな観戦者の視点で、今回は 鵬翔から日章学園へと続く宮崎の系譜 と、中高一貫校時代の到来 について書いてみます。
1. 鵬翔高校の時代:興梠慎三と増田誓志の世代
宮崎の高校サッカーを語るうえで、鵬翔高校の名前は外せません。
私が高校生だった頃、サッカー雑誌や大会レポートで出会ったのが当時の鵬翔の選手たちでした。中でも増田誓志選手(後にA代表にも選出され、鹿島アントラーズでボランチとしてプレーした選手)は学年が一つ違いということもあり、勝手に親近感を覚えていました。彼が大学を経てプロの舞台で出場機会を得るたびに、鹿島の試合を意識して観るようになり、宮崎の高校サッカーに目が向く大きなきっかけになりました。
その一つ下の世代に、興梠慎三選手が在籍していたのは、ご存じの方も多いと思います。鹿島・浦和で長くプレーしたストライカーですが、私にとって最初の興梠選手の印象は「増田選手の後輩」というところから始まりました。
この興梠・増田世代が、宮崎県外のサッカーファンにも「鵬翔は強い」という印象を広めたのは間違いないでしょう。
その後の鵬翔高校は、2012年度(第91回)全国高校サッカー選手権大会で優勝 を果たしました。県外からも選手が集まる私立校として、長く宮崎の高校サッカーを引っぱってきたのです。
2. 現代の宮崎を牽引する日章学園
時代は移り、いま宮崎県の高校サッカーシーンを引っぱっているのが日章学園高校です。
高岡伶颯選手の海外直行という象徴
日章学園の名前を全国に広めた近年の選手といえば、高岡伶颯選手でしょう。高校時代から高い能力で注目を集め、卒業後は 大学やJリーグを経由せず、直接海外クラブへ進んだ ことで多くのサッカーファンを驚かせました。
「高校 → 海外」という進路は、十数年前にはほぼ考えられなかったルートです。こうした選手を育てて送り出したことは、日章学園のサッカー部の力を示しています。
2026年・九州U-17新人大会で大津高校に勝利
そして直近では、2026年の九州高等学校(U-17)サッカー大会・新人大会で、日章学園が 大津高校(熊本)を下して優勝 を果たしました。
九州の高校サッカーは、長年にわたって大津高校・神村学園・東福岡といった伝統校が頂点を競い合ってきました。その中での優勝は、日章学園が九州の頂点を競う位置にいることを示す結果です。
「強豪校」としての軸の確立
増田・興梠の鵬翔時代から数えると、宮崎の主役は次の世代へ移っていることが分かります。
そして日章学園が一時的な結果に終わらず、長く安定した成績を残してきている背景には、次の節で触れる中高一貫校としての強みがあります。
3. 中高一貫校時代の到来
日章学園が現在、強豪としての位置を保てている背景には、もう一つ重要な要素があります。それが 中高一貫教育 です。
強豪校の共通点
近年、全国の高校サッカーで成果を上げているチームを並べてみると、ある共通項が浮かび上がります。
- 日章学園(宮崎)
- 神村学園(鹿児島):昨年度の全国高校サッカー選手権王者
- 青森山田(青森)
- 静岡学園(静岡)
- 浜松開誠館(静岡)
- 高川学園(山口)
- 帝京大可児(岐阜)
これらに共通しているのは、いずれも中高一貫校だということ。中学校(あるいは中学相当のチーム)からトップチームまで、6年間を通じた一貫したサッカー哲学 で選手を育成しています。
なぜ6年一貫が強いのか
高校サッカーは原則3年で完結します。1年生で入部して、3年生でピークを迎え、引退する、というサイクルです。
しかし中高一貫校では、中学から戦術・身体作り・チーム文化を共有してきた選手たちが、そのまま高校チームに合流します。技術的にも戦術理解の面でも、入学時点で他校より一歩先を歩いているのです。
加えて、中学から有望な選手をスカウト・育成できる仕組みがあることも大きい。高校から3年で結果を出す勝負ではなく、6年でコンセプトを完成させる勝負。これが現代の強豪校のスタンダードになりつつあります。
日章学園が時代を捉えている理由
日章学園もこの流れの中で、6年一貫の育成体制を整え、高岡伶颯選手のような海外直行型の選手を送り出すまでになったわけです。
増田・興梠の鵬翔時代が「地元の高校生を3年間鍛える時代」だったとすれば、いまは「中高一貫の私立が中学から育てる時代」へと変わっています。
その流れの先頭を行くチームの一つが、日章学園なのです。
4. 2026シーズン宮崎の現状
ここからは、本サイトの最新順位データをもとに、2026シーズンの宮崎県の高校サッカー事情を見ていきます(順位は刻々と変わるので、最新情報は 宮崎県の順位ページ で確認してください)。
宮崎県の高校サッカーリーグ構造
宮崎県の高校サッカーは、ピラミッド型のリーグ構造で運営されています。
- プレミアリーグ EAST/WEST(全国トップ層)
- プリンスリーグ九州 1部・2部(九州地区の上位)
- 宮崎県JFAリーグ 1部・2部(県内で最も上のリーグ)
宮崎の中で最も上のリーグに所属する学校は、その年の県内勢力図を映す指標となります。
二強体制:日章学園と宮崎日本大学高校
ここ数年、宮崎県の高校サッカー予選では、日章学園と宮崎日本大学高校(宮崎日大)がほぼ毎年県代表の座を分け合っています。
両校とも中高一貫校で、長期的な育成体制が整った強豪。インターハイ予選・選手権予選では、決勝近辺で両校が対戦する宮崎ダービーが、すっかり恒例の好カードになっています。
復権する伝統校・鵬翔高校
かつて興梠・増田世代を輩出した鵬翔高校は、世代交代を経て、近年再び存在感を取り戻しています。
- 2021年(第100回)選手権宮崎県予選:日章学園を破り準優勝(優勝は宮崎日大)
- 2022〜2025年(第101〜104回)選手権宮崎県予選:4年連続ベスト4
- 2026年現在:プリンスリーグ九州2部で首位に位置
特にプリンス九州2部の首位という現在地は、全国レベルへの復活が見え始めているシグナル。再びの全国大会出場、そして興梠・増田世代に続く新しい選手の輩出が期待されます。
Jクラブのアカデミー:テゲバジャーロ宮崎U-18
宮崎県唯一のJリーグクラブ、テゲバジャーロ宮崎のU-18チームも、宮崎県のサッカーシーンで重要な存在です。
トップチームは、現在 J2・J3特別大会の地域ラウンド WEST-B で首位を走っており、クラブ全体として強化が進んでいます。トップの勢いに合わせて、U-18の育成への投資・注目度も今後さらに高まることが見込まれます。
Jクラブのアカデミーは独自の育成カリキュラムを持ち、高校サッカーの強豪校とは別の道で選手を送り出す存在。近い将来、宮崎県の高校サッカー勢力図に加わってくる可能性は十分にあります。
観戦のすすめ
宮崎県の順位ページ では、各リーグの最新順位を毎週更新しています。インターハイ予選を控えるこの時期、お気に入りのチームを定点観測してみてはいかがでしょうか。
5. インターハイ予選2026の見どころ
5月後半〜6月にかけて、いよいよ宮崎県のインターハイ(全国高校総体)予選が本格化します。これは私にとっても、今年最も楽しみな観戦シーズンの一つです。
注目カード:日章学園 vs 宮崎日大
例年通りであれば、決勝近辺で日章学園 vs 宮崎日大という宮崎ダービーが見られる可能性が最も高いと予想されます。
日章学園は2026年の九州U-17新人大会で優勝するなど現状勢いに乗っており、宮崎日大は安定した強さで一歩も譲らない存在。両校が手の内を知り尽くした上での対戦は、緻密な戦術と球際の激しさで、九州レベルの高校サッカーを楽しめる試合になるはずです。
ダークホース候補:鵬翔高校
そこに割って入る可能性を持っているのが、鵬翔高校です。プリンス九州2部首位という現在地は、リーグ戦の積み重ねが本物であることを示しています。
予選の一発勝負の舞台で、二強の壁を越えられるか。興梠・増田世代の活躍を注目していた身としては、鵬翔の久々の県代表が見られる年になれば、感慨深いものがあります。
観戦のポイント
インターハイ予選は トーナメント形式 で行われ、負ければ即引退になる3年生も多数います。一発勝負の独特の緊張感と、その中で見せる選手たちの全力プレーは、リーグ戦とはまた違った魅力。
会場まで足を運べる方はぜひ現地で、難しい方は本サイトで結果を追いかけながら、宮崎の高校サッカーの夏を楽しんでいただければと思います。
まとめ:宮崎の高校サッカーをもっと楽しむために
増田・興梠世代の鵬翔高校に始まり、日章学園・宮崎日大の二強体制へ、そして中高一貫校時代の到来へ。宮崎県の高校サッカーは変わり続けています。
本記事のポイントを振り返ります。
- 鵬翔高校は2012年度選手権優勝の名門。興梠慎三・増田誓志といった選手を輩出
- 現在は 日章学園と宮崎日大の二強体制。両校とも中高一貫校
- 高岡伶颯選手の海外直行は、現代の宮崎の育成水準を示す例
- 強豪校はいまや 「6年で育てる」 中高一貫校が主流
- 鵬翔高校はプリンス九州2部首位で復権の兆し
- テゲバジャーロ宮崎U-18はトップ強化に伴い今後注目
医師として救急外来で立つ平日の合間に、休日は高校サッカーを観てリフレッシュする。これが私の長年のスタイルです。宮崎の高校サッカーには、世代を超えて続くドラマがあります。皆さんもぜひ、それぞれの楽しみ方で観戦シーズンを過ごしてみてください。
なお、本サイトでは 宮崎県の最新順位 や 全国47都道府県の高校サッカー順位 を毎週更新しています。お気に入りの選手やチームの動向を、ぜひ追いかけてみてください。