旭川実業高等学校
チームの特徴
北海道、とりわけ降雪量が多く気温の低い道北・旭川市は、冬季にグラウンドが深い雪に閉ざされ、全国レベルのサッカーチームを維持するのが極めて困難とされてきた地域です。旭川実業は、この雪国特有の制約を「克服すべき障害」ではなく「優位な土壌」として昇華させ、北海道の高校サッカー界を牽引する全国区の強豪へと成長しました。高体連チームとJクラブユースがしのぎを削る高校年代最高峰「プレミアリーグ」への参入も果たしています。
スタイル: 冬季は実質「バスケットボールコート1面分」という極小空間での屋内トレーニングを強いられますが、これを逆手に取り、硬い床の上でパス・ドリブルなど足元の技術に徹底的にこだわります。一人あたりのボールタッチ回数が劇的に増え、狭い局面を打開する瞬時の判断力が養われる——春以降にこの技術とインテリジェンスをゴール前の攻防や戦術に落とし込む独自の育成サイクルが確立されています。近年はこのベースに「縦への推進力」と「攻守の切り替えの速さ」を組み込んだハイブリッドなスタイルへと進化しています。
主な実績
| 大会 | 最高成績 | 備考 |
|---|---|---|
| インターハイ(全国高校総体) | 全国ベスト8 | 2017年度(2023年度はベスト16) |
| プレミアリーグEAST | 昇格・参入 | 2022年度・プレーオフを勝ち抜き昇格 |
| プリンスリーグ北海道 | 優勝 | 2011・2015・2018・2020・2022年度 |
| 全国高校サッカー選手権 | 全国ベスト16 | 2012年度(北海道予選優勝は複数回) |
チームの歩み
創生期(1966年〜)
1966年創部。道央・道南の強豪が覇権を争う時代、道北のチームが全道を制するのは容易ではありませんでした。冬季に屋内トレーニングを強いられる中で、足元の技術とショートパスにこだわる土壌が意図せず醸成され、のちの飛躍の技術的基盤となりました。
富居徹雄総監督による変革
地域の強豪から全国区へ飛躍する最大の転機が、旭川市出身の富居徹雄氏の指導体制トップ就任です。富居氏はジュニアユース日本代表に選出され、順天堂大学でプレー(元日本代表・名波浩の1学年先輩)したエリート。「相手が多くても混乱せず、止められる方法を冷静に考えられる選手」を育てる、高度な認知・判断力を求める哲学を持ち込みました。
黄金期と全国での躍進
2010年代以降、インターハイ北海道予選を2011・2012・2017・2021〜2024年度と何度も制覇。全国では2017年度にベスト8、2023年度にベスト16へ進出しました。リーグ戦でもプリンスリーグ北海道を5度制し、2022年度にはプレーオフを勝ち抜いて高校年代最高峰のプレミアリーグEASTへ昇格。降雪地域の高体連チームとしては極めて異例の快挙でした。
2026年の現在地
2026年は富居徹雄総監督の統括のもと、國井康之監督が現場の指揮を執ります。6月のインターハイ道予選では準決勝で札幌大谷を3-2、決勝でとわの森三愛を1-0で下して優勝し、4大会連続10回目の全国出場を決めました。プリンスリーグ北海道でも首位を勝点1差で追う2位と、優勝・プレミア復帰争いの中心にいます(後述)。
強さの3本柱
① 雪を味方にする育成サイクル
冬の屋内・極小空間での技術錬成 → 春以降の屋外での戦術落とし込み、という独自サイクル。フットサルのコートに近い環境が、世界基準のボールコントロールと素早いトランジションを育みます。
② 中高一貫に近い連携と全国規模のスカウト
「旭実FC」「VITA」などの下部・関連クラブと連携し、入学前からプレーモデルを共有。道北にとどまらず道内全域、さらに本州(埼玉・大阪など)からも有望選手が越境入学するエコシステムを築いています。
③ 下宿生活による人間教育と栄養管理
学校近くの下宿「必修館」での共同生活で自立心を養い、朝6時40分起床→朝練→夕方練習→夜のミーティング・ビデオ分析という規律ある日課を徹底。栄養学に基づく身体作りも全国大会を戦い抜く土台です。
輩出した主なプロ選手
旭川実業はサッカー・フットサル両界に人材を供給し続けています。2026年W杯日本代表に同校OBはいません(鹿島等で活躍した植田直通は大津高校出身で旭川実業OBではありません)。
| 選手名 | 主な所属 | 備考 |
|---|---|---|
| 山内陸 | ザスパ群馬(J3) | 八戸を経て2025年移籍。攻撃の司令塔として主力 |
| 河合駿樹 | テゲバジャーロ宮崎(J3) | 札幌大経由で2025年プロ入り |
| 鈴木健太郎 | 湘南・山形・東京V ほか(引退) | 高卒で平塚入り、長く活躍したDF |
| 阿部陽輔 | 横浜FM・仙台 ほか(引退) | 高卒で横浜FMに加入した187cmのGK |
| 高橋健介 | フットサル日本代表監督 | フットサル日本代表の絶対的エースを経て指導者に |
2026年の注目選手
2026年プリンスリーグ北海道で実際に出場・得点している現役の主力選手です。
| 選手名 | ポジション | 特徴 |
|---|---|---|
| 早川來唯 | MF/FW | 開幕戦で得点。攻撃を牽引する主力 |
| 大下聖斗 | FW | 開幕からの連勝で複数得点を記録した前線の核 |
| 川口湘大 | FW | 攻撃の要。プリンス第4節でも得点 |
| 渡邊颯太 | MF | 中盤の骨格を担い、攻撃でも結果を残す |
| 池内龍 | MF/FW | プリンス序盤戦で得点した攻撃陣の一角 |
| 庄林凛太郎 | GK | 最後尾を統率する守護神 |
※注目選手は、2026年プリンスリーグ北海道の試合記録(ゲキサカ等)と3月の「J-VILLAGE CUP U-18」登録メンバーをもとに、2026年度に在籍している現役選手のみを掲載しています。お預かりした調査資料では上級生の学年(新2年・新3年)が個別に明記されていなかったため、確実に2026年シーズンに出場・得点している選手に絞り、学年の断定は避けています。すでに卒業した世代(2008年4月1日以前生まれ)は含めていません。なお、チームは道内外・多様なバックグラウンドの選手が集う多様性も特徴です。
リーグ戦(2026年・プリンスリーグ北海道/第8節終了時点)
旭川実業は8戦5勝2分1敗・勝点17で2位につけています。6月末からの2連勝(北海に1-0、北海道大谷室蘭に3-1)で、首位・北海道コンサドーレ札幌U-18との差はわずか勝点1。5月の直接対決で唯一の黒星を喫した3位・札幌大谷(勝点16)も含め、三つ巴の優勝争いが後半戦最大の見どころです。
| 節 | 日付 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/11 | 北海道大谷室蘭 | ○ 2-0 |
| 第2節 | 4/18 | 札幌光星 | ○ 2-0 |
| 第3節 | 4/25 | 帯広北 | ○ 1-0 |
| 第4節 | 5/2 | 北照 | △ 1-1 |
| 第5節 | 5/6 | 札幌大谷 | ● 0-1 |
| 第6節 | 5/30 | 北海道コンサドーレ札幌U-18 | △ 3-3 |
| 第7節 | 6/27 | 北海 | ○ 1-0 |
| 第8節 | 7/5 | 北海道大谷室蘭 | ○ 3-1 |
最新の順位はプリンスリーグ北海道の順位表で毎日更新しています。
2026年インターハイ北海道予選と本選
| ラウンド | 日付 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 準決勝 | 6/16 | 札幌大谷 | ○ 3-2 |
| 決勝 | 6/17 | とわの森三愛 | ○ 1-0 |
リーグ戦で唯一敗れていた札幌大谷への雪辱を打ち合いの準決勝で果たし、決勝は1-0の完封勝利。4大会連続10回目のインターハイ出場です。本選(7月25日開幕・福島県開催)は、1回戦で大阪府代表の大阪桐蔭と対戦します。2017年度に記録した全国ベスト8超えを狙う夏です。
よくある質問
Q. 旭川実業はなぜ雪国なのに強いのですか?
A. 冬の屋内・極小空間での技術練習を「弱み」ではなく「強み」に変えているからです。一人あたりのボールタッチ数が増え、狭い局面の判断力が磨かれる独自の育成サイクルを確立しています。
Q. プレミアリーグでプレーしたことはありますか?
A. あります。2022年度に参入プレーオフを勝ち抜き、高校年代最高峰のプレミアリーグEASTへ昇格・参戦しました。降雪地域の高体連チームとしては極めて異例の快挙でした。
Q. 2026年のインターハイ出場は何回目ですか?
A. 4大会連続10回目です。道予選の準決勝で札幌大谷を3-2、決勝でとわの森三愛を1-0で下しました。
Q. 寮はありますか?
A. 学校近くの下宿「必修館」で共同生活を送る選手が多く、規律ある日課と栄養管理が全国で戦う体づくりの土台になっています。