チームの特徴
今治東中等教育学校サッカー部は、プリンスリーグ四国所属(2026年現在)、愛媛県今治市を本拠地とする公立の中高一貫校。南宇和・松山工・済美ら中予・南予の伝統校が覇権を握ってきた愛媛で、東予地域から台頭した。その飛躍は単なる新興校の躍進にとどまらず、元日本代表監督・岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治の「岡田メソッド」と、公立中高一貫教育、そして地元企業の支援が連動した「地方創生型スポーツエコシステム」の結実だ。2026年もインターハイ愛媛予選を制し、4大会ぶり5回目の全国出場を果たした。
スタイル: 谷謙吾総監督(清水東でGKとして選手権準優勝、南宇和・松山工を全国に導いた名将)の哲学が根幹。特別な身体能力に頼らず全国で勝つため、走り方・身体操作・ボール扱いを生体力学的に見直す「蹴球動作改革」と、基礎徹底から自律へ導く「守破離」を徹底する。これがFC今治の「岡田メソッド」(自立した選手・自律したチーム)と共鳴し、SPLYZA Teams等のITツールで選手自身が映像分析する“サッカーIQの高い集団”を生んだ。2026年インターハイ予選決勝では、右MFを置かない非対称の変則4-4-2で済美の堅守を崩す高度な戦術も披露した。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | 出場3回(2019・2021・2023年度) | 2019年度(第98回)に初出場初勝利(山形中央を2-0) |
| 全国高校総体(インターハイ) | 出場5回(2001・02・22年ほか/2026年) | 2026年は決勝で済美を1-0で破り4大会ぶり5回目 |
| 県高校総体(インターハイ予選) | 優勝(2026年) | 準決勝で新田を1-0、決勝で済美を1-0と連続完封 |
→ 2019年度の選手権初出場初勝利で今治の高校として歴史的快挙を達成し、以降は愛媛の絶対的強豪に。2026年もインターハイ予選を準決勝・決勝とも完封で制し、全国の常連としての地位を固めている。
チームの歩み
雌伏の時代(1984年〜)
- 1984年:今治東高校の創部翌年に始動。南宇和・松山商・新田らが支配する中、長く県の中堅校に
- 2001・2002年:インターハイ連続出場も全国初戦の壁。2003年に中等教育学校(中高一貫)へ移行し、強化の枠組みが変化
谷体制と全国初勝利(2012年〜)
- 2012年:谷謙吾監督が就任し、劇的な変貌の最大の転換点に
- 2019年度(第98回選手権):県予選の壁を破り初出場。2回戦で山形中央を2-0で下し、今治の高校として初の選手権初出場・初勝利(髙瀬太聖が決勝点)。以降、第100回(2021年度)・第102回(2023年度)と連続出場
完成する「今治モデル」(2025〜2026年)
- 2025年度:スポーツ振興くじ助成(約3,840万円)で校内に人工芝「SAKURAフィールド」を新設。地元7社(新来島どっく・今治造船ら)が四国初のスポンサーに
- 2026年:インターハイ愛媛予選で済美を1-0で破り、4大会ぶり5回目の全国インターハイ出場
強さの3本柱:地方創生型エコシステム
① 谷メソッド×岡田メソッドのシンクロ
谷総監督の生体力学に基づく身体操作指導と「守破離」の自律教育が、FC今治の「岡田メソッド」と思想的に共鳴。「ゲーム→分析→プランニング→トレーニング」のサイクルで、選手が自ら考え判断する力を磨く。
② 中高一貫+地域パイプライン
中等教育学校として中学(前期)・高校(後期)の6年一貫指導が可能。FC今治U-15や地元街クラブと強い信頼関係を築き、「今治で育ち、今治で勝つ」好循環で県外流出を防ぐ受け皿に。
③ 産学連携と人工芝化
公立部活ながら地元企業7社が公式スポンサーに就き、遠征費・運営費を支える。新ユニフォームには企業ロゴが入り、「地域に尽くされている」責任感が選手をプロ水準のメンタリティへ引き上げる。2025年の人工芝「SAKURAフィールド」整備で育成の質も飛躍した。
輩出した主なプロ選手・OB
全国レベルの強化が進むにつれ、プロで活躍するOBが着実に増えている。
- 髙瀬 太聖(FW、ミネベアミツミFC):在学2年時に同校初の選手権出場・全国2得点に貢献。「今治モデル」から直接FC今治トップへ昇格した初の地元出身選手。2025年からミネベアミツミでストライカーとして活躍
- 長井 響(DF、FC延岡AGATA):大学経由でプロ入り。鳥取・沖縄SV・高知ユナイテッドを経て2026年に延岡へ。対人守備が武器
- 菅 和範(MF/DF、引退):旧・今治東高校時代の卒業生。FC岐阜を経て、栃木SCでJ2通算295試合に出場したレジェンドで、日本プロサッカー選手会副会長も務めた
→ 本那脩(多度津FC)、岡本航汰(FC今治トップチーム通訳兼コーチ)など、選手・スタッフとして地域のサッカーを支えるOBも多い。
※2026 W杯日本代表26人に同校OBの選出はなし(W杯代表26人の出身校特集)。
補足:プロ選手の所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報はJリーグ公式などでご確認ください。
2026年の注目選手
いずれも2026年度に在学中の高校生。学年・ポジションは2026年インターハイ予選決勝(対済美)のスターティングメンバーとして公式戦レポートで確認した。
| 選手 | 学年 | ポジション・備考 |
|---|---|---|
| 大高 夢翔 | 3年 | MF(主将)。インサイドハーフで攻守をつなぐ精神的支柱 |
| 森 咲人 | 3年 | FW。ドリブルとシュートスピードに優れるエースストライカー |
| 垂水 新太 | 3年 | DF(右SB)。変則4-4-2で右サイドの広大なスペースを支配し攻撃の起点に |
| 井出 晃芽 | 3年 | MF(アンカー)。中盤の底で芽を摘み、配球の起点となる |
| 上鵜瀬 睦 | 3年 | GK。的確なコーチングとシュートストップでチームに安定感 |
| 井上 泰我/今岡 智也 | 3年 | DF(CB)。対人守備とビルドアップで最終ラインを統率 |
| 吉田 大輝 | 2年 | MF。高い技術でプリンスでも得点を重ねる攻撃のアクセント |
| 上野 新太 | 2年 | FW。献身的なプレスと飛び出しで森との2トップを形成 |
| 潮見 由洋 | 1年 | MF(左)。1年生で大抜擢、物怖じしないチャンスメイク |
→ 中学やFC今治アカデミー出身者がシームレスに高校のインテンシティに適応し、2年生(吉田・上野・山田)や1年生(潮見)の下級生も主力を担う。卒業生(髙瀬ら)は上記に含めず、現役の在学生のみを掲載している。
2026年インターハイ愛媛県予選(済美を破り4大会ぶりの全国へ)
| ラウンド | 日付 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 準決勝 | — | 新田 | ○ 1-0 |
| 決勝 | 6/13 | 済美 | ○ 1-0 |
→ 準決勝で新田を完封し、決勝ではニンジニアスタジアムで済美と激突。非対称の変則4-4-2で堅守の済美を崩し、後半の先制点を守り切って1-0で勝利。4大会ぶり5回目の全国インターハイ出場(7/25〜福島県)を決めた。準決勝・決勝とも1-0完封という勝負強さが光った。詳しくはインターハイ全国大会のページで。
2026年プリンスリーグ四国 序盤戦(強豪Jユース勢と苦闘も粘り)
| 節 | 日付 | 対戦相手 | 結果 | 得点者 |
|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | FC今治U-18 | ● 0-1 | — |
| 第2節 | 4/11 | 新田 | ○ 2-0 | 吉田大輝・大高夢翔 |
| 第3節 | 4/18 | 徳島ヴォルティスユース | ● 0-6 | — |
| 第4節 | 4/25 | 愛媛FC U-18 | ● 1-5 | 森咲人 |
| 第5節 | 5/2 | 徳島市立 | △ 1-1 | 上野新太 |
| 第6節 | 5/9 | 大手前高松 | △ 3-3 | 吉田・森・山田 |
| 第7節 | 5/16 | 徳島商業 | △ 2-2 | 潮見・森 |
→ 開幕は徳島ヴォルティスユース・愛媛FC U-18(開幕連勝中の首位)らクラブユース勢に大量失点を喫したが、第5節以降はビハインドや終盤からでも粘って引き分けに持ち込む勝負強さが顕著に。このプリンス四国というハイレベルな環境で揉まれた経験が、直後のインターハイ予選での連続完封優勝に直結した。最新の順位はプリンスリーグ四国 順位表で確認できる。