チームの特徴
柏レイソルU-18は、プレミアリーグEAST所属の千葉県柏市を本拠地とするJクラブアカデミー。直接的な起源は1986年4月開校の「日立サッカースクール柏」まで遡り、Jリーグ発足以前から地域密着の育成を実践してきた日本サッカー界の「先駆者」。吉田達磨氏が2003年からU-15コーチに就任して以降、クラブ全体を貫くポゼッションフットボール哲学を体系化し、当時「異端」と呼ばれたスタイルを日本サッカー育成の最先端へと昇華させた。
スタイル: 「ボールを保持して主導権を握る」ポゼッションフットボールが伝統的アイデンティティ。ゴールキーパーからショートパスを繋ぎ、相手を支配する技術と戦術眼を育成。志田達郎監督体制では、これにインテンシティ・トランジション・即時奪回(ネガティブトランジション)の質を融合させ、「前進し、相手のオーガナイズを破壊してゴールを奪うための保持」へと先鋭化。GKコーチを3名体制で運用し、ビルドアップの始点となる「11人目のフィールドプレーヤー」としてのGK育成にも厚いリソースを割く。
主な実績
| 大会 | 優勝年 | 備考 |
|---|---|---|
| 高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグEAST | 2014年度 | EASTリーグ初優勝、当時の高体連王者を圧倒 |
| 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 | 2012年度 | 悲願の全国初優勝 |
| U-17クラブワールドカップ | 2015年 ベスト8 | 世界レベルでの存在感を示す |
| ダラス・カップ | 2013年 準優勝 | マンチェスター・ユナイテッドを下す |
| アル・カス・インターナショナルカップ | 2018年準優勝・2019年3位 | 欧州メガクラブと真剣勝負 |
| アルカス・インターナショナルカップ 2026 | 5位 | レンジャーズFC撃破、エトワール・サヘル4-1快勝 |
| 第92回天皇杯 千葉県予選 | 2012年優勝 | 史上初の「兄弟対決」(柏トップvs柏U-18)を実現 |
→ 2014年のプレミアEAST初優勝と2016年8月27日のトップチーム公式戦で日本人選手全員(外国籍除く)がアカデミー出身者となった瞬間は、Jリーグ史に残る育成の到達点。
チームの歩み
創生期(1986〜1990年代):日本初のJFA公認サッカースクール
- 1969年:前身「日立製作所サッカー部」時代に日本全国で初めてJFA公認サッカースクールを開催
- 1986年4月:プロリーグ発足以前のアマチュア時代に「日立サッカースクール柏」開校
- 1993年:Jリーグ発足と同時に「柏レイソルユース」へ名称変更、プロクラブ下部組織として始動
- 千葉県は市立船橋・流通経済大柏など全国屈指の高体連強豪校が群雄割拠、強固な高体連の壁にチャレンジャーとして挑む
哲学確立期(2003年〜):吉田達磨体制の始動
- 2003年:かつての日立・柏レイソル選手だった吉田達磨氏がU-15コーチに就任
- U-12〜U-18の各カテゴリーで指導者がバラバラの方針だった属人的体制を解体
- 「ポゼッションフットボール」と「レイソルへの愛と誇り」を全カテゴリー共通の戦術言語・アイデンティティへ確立
- 当時の日本では「異端」と呼ばれたスタイルを、後のグアルディオラ率いるバルセロナ隆盛のトレンドに先駆けて導入
黄金期到来(2010〜2014年):プロ輩出機関としての確立
- 2010年:千葉県リーグから脱却、プリンス関東2部・1部を経て上昇
- 2012年:日本クラブユース選手権U-18優勝、第92回天皇杯千葉県予選でも優勝し、本大会2回戦で史上初の「兄弟対決」(柏トップvs柏U-18)を実現
- 2014年:プレミアリーグEAST初優勝達成
- 1990年生まれ世代から酒井宏樹・故・工藤壮人・武富孝介・指宿洋史ら計11名がプロ入りという異常な高輩出率
国際化と新世代(2015年〜)
- 2015年:U-17クラブワールドカップ ベスト8、日体大柏高校との相互支援契約締結
- 2016年〜:カタール開催「アルカス・インターナショナルカップ」に定期参加、レアル・マドリード・バイエルン・PSGと真剣勝負
- 2016年8月27日:J1リーグの川崎フロンターレ戦で日本人選手全員がアカデミー出身者という歴史的瞬間(中村航輔・茨田陽生・中谷進之介・中山雄太・輪湖直樹・小林祐介・秋野央樹・太田徹郎・中川寛斗・武富孝介)
現体制(2024年〜2026年)
- 志田達郎U-18監督体制でモダンなポゼッション+ハイインテンシティへ進化
- 戸田伊吹コーチ(B監督):筑波大学蹴球部ヘッドコーチ経験者がアカデミズムに裏打ちされた論理的戦術眼を注入
- GKコーチ3名体制:木村真(1997年生まれ)・眞井陽介(1999年生まれ)・伊藤拓海(2004年生まれ)で「11人目のフィールドプレーヤー」としてのGK育成を徹底
- フィジカル・メディカル陣:宮脇晴己フィジカルコーチ、池川直志ドクター、池田健人チーフトレーナー、大津正夫・近藤正史トレーナーが選手の身体マネジメントを支える
- アルカス2026:グループリーグでバルセロナ・PSGに敗北しながらも、レンジャーズFCを2-0撃破+エトワール・サヘルに4-1快勝で5位フィニッシュ
強さの4本柱:揺るぎない哲学と世界基準の育成
① 「ボール保持と即時奪回」のポゼッションフットボール
2000年代初頭から吉田達磨氏が確立した「ボールを保持して主導権を握る」哲学が、20年以上ブレずに全カテゴリーで共有。当時「異端」と呼ばれた戦術は今や日本の主流となり、レイソルは常にその先端で進化を続ける。志田体制では「前進と即時奪回」への先鋭化を実現。
② 「レイソル愛」を刷り込む全人的教育
「まず柏レイソルのトップで活躍できる選手を育てること」「レイソルのサッカーを理解し、体験し、愛し、ここでプレーすることに誇りを持てる選手の育成」をベースに据える。U-12の幼少期から「未来のレイソルを背負ってくれ」というメッセージを徹底し、エンブレムへの強烈な帰属意識とプロ規律を醸成。
③ 日立柏総合グラウンド × スポーツ栄養学の徹底
アカデミー選手は日立柏総合グラウンドでトップチームと同じ施設を使用、プロの背中を間近で見ながら成長。2005年頃から「食育」を本格導入、敷地内食堂「ピアノ」で栄養管理された食事を摂る仕組みで、ポゼッションを支える強靭な肉体を構築。
④ 「柏レイソルアライアンスグループ」+「日体大柏高校との相互支援契約」のハイブリッド育成
千葉県内12のクラブ(TOR'82、野田、長生、流山、FCアクティブ柏、カナリーニョFCなど)と提携する「柏レイソルアライアンスグループ」で県内タレントを早期発掘+プレーモデル浸透。さらに2015年締結の日体大柏高校との相互支援契約により、U-15からU-18への昇格に漏れた選手もレイソル派遣の指導者のもとで継続育成可能。「クラブユースvs高体連」の二項対立をハイブリッド化した画期的システム。
輩出した主なプロ選手
海外で世界基準のプレーを見せるOB
- 小久保 玲央ブライアン(GK、ベンフィカU-23等を経て欧州でキャリアを継続):U-15時代からの逸材、アルカス・カップでベストGK受賞経験
- 伊藤 達哉(MF/FW、ハンブルガーSV等を経て欧州を渡り歩く):2014年アル・アイン国際大会の活躍を機にハンブルガーSVへ直接移籍
現在の柏レイソル・トップチームを支える主軸
- 古賀 太陽(DF、柏レイソル、元日本代表):1998年生まれ、トップチームの絶対的ディフェンスリーダー
- 細谷 真大(FW、柏レイソル、日本代表):2001年生まれ、トップチームのエースストライカー
- 佐々木 雅士(GK、柏レイソル):2002年生まれ、トップチームの次世代守護神
黄金世代以降の主要OB
- 酒井 宏樹(DF、Jリーグで活躍、元日本代表):1990年生まれ、ハノーファー96・マルセイユ・浦和レッズなど世界・国内で活躍した世界基準のサイドバック
- 中谷 進之介(DF、ガンバ大阪、元日本代表):トップレベルのCBとして継続活躍、ガンバ大阪の主将として中心選手
- 中山 雄太(MF/DF、海外クラブ経由でJリーグ復帰、日本代表):2016年8月27日の「全員アカデミー出身者」歴史的瞬間のメンバー
- 中村 航輔(GK、Jリーグ・海外で活躍、元日本代表):2016年「全員アカデミー出身者」のメンバー
- 武富 孝介(MF/FW、Jリーグで継続活躍)
- 大島 康樹(FW、Jリーグで活躍)
- 田中 隼人(DF、セレッソ大阪等):2003年生まれの若手CB
- 森 海渡(FW):2000年生まれ、Jリーグで継続的に活躍するアタッカー
故・工藤壮人さん(追悼)
- 故・工藤 壮人(FW、元日本代表):1990年生まれの黄金世代を代表するストライカー、柏レイソルで主要タイトル獲得に貢献、海外移籍も経験。2022年10月21日に32歳の若さで逝去(水頭症の手術後の容体悪化)。今もタイガーブラックの魂として後輩たちに大きな影響を与え続けている
→ 柏レイソルアカデミーは日本屈指のプロ選手輩出機関。中盤の構成力に優れた選手、足元の技術を持つCB、ビルドアップ能力の高いGKという「レイソルらしい」選手像を継続的に輩出。
補足:プロ選手の現所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報は各選手のJリーグ公式プロフィールなどでご確認ください。
2026年の注目選手
GK陣(4名体制・ビルドアップの始点)
| 背番号 | 選手 | 学年 |
|---|---|---|
| 1 | 西川 元基 | 3年 |
| 16 | 金子 遙真 | 3年 |
| 21 | 大屋 湊亮 | 1年 |
| 31 | 吉口 雄二郎 | 1年 |
DF陣(柏レイソルU-15出身を主軸)
| 背番号 | 選手 | 学年 | 前所属 |
|---|---|---|---|
| 3 | 宮野 健貴 | 3年 | 柏レイソルU-15 |
| 4 | 丸山 寿貴斗 | 3年 | 柏レイソルU-15 |
| 5 | 吉川 晴翔 | 3年 | 柏レイソルU-15 |
| 6 | 佐藤 桜久 | 3年 | 柏レイソルU-15 |
| 8 | 上野 暉晏 | 3年 | 柏レイソルU-15 |
| 15 | 落合 哉太 | 2年 | JFAアカデミー福島U-15 |
| 32 | 奥村 翔 | 2年 | 柏レイソルU-15 |
MF陣(中盤の構成力)
| 背番号 | 選手 | 学年 |
|---|---|---|
| 2 | 阿出川 琥吾 | 3年 |
| 7 | 長南 開史 | 2年 |
| 10 | 加茂 結斗 | 3年 |
| 12 | 黒沢 碧 | 3年 |
| 18 | 岸野 遥大 | 3年 |
FW陣(破壊力の攻撃陣)
| 背番号 | 選手 | 学年 |
|---|---|---|
| 9 | 巻渕 彪悟 | 3年 |
| 11 | 杉山 駿之介 | 3年 |
| 14 | 五十嵐 陵 | 2年 |
| 36 | 茂木 勇人チュクソム | 2年 |
→ 登録メンバーの大多数が柏レイソルU-15からの内部昇格で、共通の戦術言語を長期共有。JFAアカデミー福島U-15出身DF落合哉太のような外部からの有望株も加わり、競争を活性化。
2026年プレミアリーグEAST 序盤戦
| 節 | 日付 | 試合 | 会場 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/5 | vs 鹿島アントラーズユース | Away | 2-0 勝利(昨季高校3冠の絶対王者撃破) |
| 第2節 | 4/11 | vs FC東京U-18 | Home | 0-0 引分 |
| 第3節 | 4/19 | vs 青森山田高校 | Home | 2-0 勝利(高体連王者を完封) |
| 第4節 | 4/25 | vs 帝京長岡高校 | Away | 1-3 敗北 |
| 第5節 | 5/2 | vs 流通経済大柏高校 | Home | 0-1 敗北(柏ダービー) |
| 第6節 | 5/6 | vs ベガルタ仙台ユース | Away | 1-1 引分 |
| 第7節 | 5/9 | vs 川崎フロンターレU-18 | Home | 3-0 勝利(Jクラブ名門を一蹴) |
| 第8節 | 5/17 | vs 前橋育英高校 | Away | 1-0 勝利(前年王者級を撃破) |
| 第9節 | 5/23 | vs 昌平高校 | Away | 0-1 敗北 |
→ 開幕から鹿島ユース・青森山田・川崎U-18・前橋育英という強豪相手に4勝を挙げる集中力と戦術的優位性を発揮。一方で柏ダービー(流経大柏戦)の敗北や昌平戦の0-1など、自陣に強固なブロックを敷く相手や個の突破力に長けたチームへの取りこぼしが課題。第9節終了時点で4勝2分3敗、ポゼッション基盤は揺るがず、夏のインターバル明けに向けてファイナルサードの崩しのアイデア多様化とネガティブトランジションの質向上が鍵。