チームの特徴
鵬学園高校サッカー部は、プリンスリーグ北信越1部所属(2026年現在)、石川県七尾市を本拠地とする能登半島の新興強豪。県内17連覇を誇った絶対王者・星稜が君臨し「サッカー不毛の地」とすら呼ばれた能登から、その牙城を幾度も崩して石川の新たな盟主へと駆け上がった。2024年の能登半島地震という逆境を乗り越え、2026年もインターハイ石川予選で星稜・金沢学院大附を破って2大会ぶり2回目の全国出場を決めている。
スタイル: 2012年就任の赤地信彦監督は、在阪テレビ局の構成作家・一般企業勤務を経て指導者になった異色の経歴の持ち主。トップダウン型の指導とは一線を画し、「自分で考える」選手の育成を哲学に掲げる。スランプや出場機会の不足こそ思考を転換する好機と捉え、序列を自ら逆転できる競争環境を意図的に提供。スローガンは「一蹴全心」。戦術面では2016年の星稜初撃破時から受け継ぐ「組織的かつ強固な守備ブロック」と「極めて高いインテンシティ」を約束事とし、選手が自律的に判断する「コーチ・オン・ザ・ピッチ」が浸透している。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | 出場2回・全国3回戦(2019年度) | 2016年度は予選決勝で18連覇を狙う星稜を延長戦の末に1-0で撃破し初出場 |
| 全国高校総体(インターハイ) | 出場2回(2024・2026年) | 2024年は能登半島地震の逆境下で初優勝。2026年も決勝で金沢学院大附を1-0 |
| 高円宮杯 プリンスリーグ北信越1部 | 1部に定着(2026年8位) | 北信越最高峰でJクラブユースや全国レベル校と日常的に対戦 |
→ 県予選決勝で星稜を破った2016年度・2019年度の2度の金星が、石川の高校サッカーの歴史を塗り替えた。能登半島のチームが県の頂点に立つことの社会的意義は大きい。
チームの歩み
ゼロからの出発(2002年〜)
- 2002年:男女共学化とともに創部。当初は地元でも認知されないほどの無名校だった
赤地体制と急成長(2012年〜)
- 2012年:異色の経歴を持つ赤地信彦監督が就任。「鵬学園がどこにあるか分からない」状態から改革に着手
- 七尾市周辺の人工芝グラウンド整備という地域インフラの充実も追い風に、就任わずか4年でプリンスリーグ北信越へ昇格
- 2016年度:第95回選手権の石川予選決勝で18連覇を狙う星稜を1-0で撃破し初の全国出場。能登半島のチームが頂点に立った歴史的瞬間
- 2019年度:再び星稜を2-1で破り、全国では3回戦進出
震災を越えて(2024年〜)
- 2024年1月:能登半島地震で主要な練習・試合会場が液状化・隆起で使用不能に。県外選手が富山の民宿に避難するなどチームは一時分断され、全体練習再開は約4ヶ月後の4月
- 2024年度:その逆境の中でインターハイ石川予選を制し初出場。「能登に笑顔を」を合言葉に精神的強靭さを証明
- 2025年9月:学園敷地内に自前の「第2キャンパスサッカー場(人工芝)」が竣工。文字通りの「ホーム」を取り戻し、能登復興のシンボルにも
- 2026年:インターハイ予選で星稜(準決勝PK4-5)・金沢学院大附(決勝1-0)を破り2大会ぶりの全国へ
強さの4本柱:能登から全国へ届く「鵬学園モデル」
① 「自分で考える」赤地監督の革新的マネジメント
メディア・一般社会での実務経験を持つ赤地監督が、強権的・画一的な指導からの脱却を体現。全国・年代別代表・プロの世界で通用する「自立した思考を持つアスリート」を育てる土壌になっている。
② 「サッカー不毛の地」を魅力に変えた広域スカウト
附属中学やジュニアユースを持たないため、外部クラブとのネットワークが生命線。県内のセブン能登JY・Pateo FC金沢などに加え、愛知・群馬・東京・京都・兵庫など全国から越境入学が急増。親元を離れた寮生活で自立心と高強度の環境を求める選手を惹きつけている。
③ 震災を越えた「ホーム」と地域復興のシンボル
2025年9月竣工の第2キャンパス人工芝グラウンドは、震災で奪われた練習環境を自前で取り戻したレジリエンスの象徴。大型バス対応の駐車場や周辺設備も整備され、地域の子どもや住民が集うスポーツのハブとしても機能する。
④ プロ基準の多角的サポート体制
赤地監督以下、フィジカル・メンタル・GK専門コーチを専任で置き、スポーツドクターとも提携。従来の中堅私立とは一線を画すサポートネットワークが、北信越1部で戦う強度を支えている。
輩出した主なプロ選手
本格強化から十数年と歴史は浅いが、トップカテゴリーへ人材を送り出し始めている。
- 永田 貫太(MF、沖縄SV=JFL):愛知県出身。高校3年(2019年度)に10番を背負い選手権出場。中京大学で全日本大学選抜・U-22日本代表候補に選ばれ、2024年に藤枝MYFCへ加入して鵬学園初のJリーガーに。ルーキーイヤーにJリーグ初ゴールを記録し、2026年1月にJFLの沖縄SVへ完全移籍
- 鈴木 樟(DF):愛知県出身。在校中の2023年に鵬学園の在校生として初の年代別日本代表(U-17日本代表)に選出。184cmの長身と高精度のフィード、空中戦の強さが武器で、卒業後は立正大学へ進学しプロ入りが嘱望される
- 廻 智樹(FP):フットサル最高峰Fリーグのヴィンセドール白山で活躍したOB
※2026 W杯日本代表26人に鵬学園OBの選出はなし(W杯代表26人の出身校特集)。永田貫太というロールモデルが生まれ、鈴木樟のようなU-17代表経験者も続く。歴史の浅いチームながら、プロ・代表へのパイプが確実に育ち始めている。
補足:プロ選手の所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報はJリーグ公式などでご確認ください。
2026年の注目選手
| 選手 | ポジション | 前所属・備考 |
|---|---|---|
| 菊池 風舞 | FW | 名古屋FC EAST(愛知)/プリンス開幕戦・帝京長岡2nd戦で決勝点を挙げる攻撃の絶対的な核 |
| 繁浪 蓮人 | MF | Pateo FC(石川)/中盤のコンダクター。県内名門クラブ出身の生え抜き |
| 真壁 壮太郎 | FW | 南葛SC(東京)/前線での打開力に期待がかかる越境組 |
| 吉田 隼翔 | MF | 前橋SC(群馬)/広域スカウトの成功例 |
| 前田 旺世 | MF | 坂井フェニックス丸岡JY(福井)/隣県からの実力者 |
→ 名古屋FC EAST・南葛SC・前橋SCなど全国の街クラブ出身者と、地元セブン能登・エスポワール白山育ちが激しく競う。多種多様なバックグラウンドの融合が、県内屈指の選手層の厚さを生んでいる。
2026年プリンスリーグ北信越1部 序盤戦
| 節 | 日付 | 試合 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | vs 帝京長岡2nd | ○ 2-1(菊池らのゴールで好発進) |
| 第2節 | 4/11 | vs カターレ富山U-18 | △ 0-0 |
| 第3節 | 4/18 | vs 星稜 | △ 0-0(宿命のライバルと痛み分け) |
| 第4節 | 4/25 | vs 上越 | ● 1-2 |
| 第5節 | 5/3 | vs 松本山雅FC U-18 | ● 0-3 |
| 第6節 | 5/9 | vs 日本文理 | ● 1-3 |
| 第7節 | 5/16 | vs アルビレックス新潟U-18 | ● 0-1 |
| 第8節 | 5/23 | vs 松本国際 | △ 1-1(連敗ストップ) |
| 第9節 | 6/13 | vs 富山第一 | ○ 2-0(自前のホームで強豪を完封) |
→ 第9節終了時点で2勝3分4敗・勝点9の8位。Jクラブユースや全国レベルの高体連相手に守備の組織力で耐える一方、勝ち切るための決定力不足が連敗の要因となった。しかし第8節で連敗を止め、第9節は新グラウンドで強豪・富山第一を完封と、後半戦への上昇気流をつかんでいる。6月のインターハイ予選では星稜・金沢学院大附を連破して優勝し、7月末の全国大会出場を決めた。最新順位は石川県 順位表で毎日更新中。