チームの特徴
履正社高校サッカー部は、プリンスリーグ関西1部所属(2026年現在)、大阪府豊中市の「プロを輩出し続ける育成機関」。山田哲人・T-岡田らを生んだ野球の超名門校が2003年に創部したサッカー部は、わずか四半世紀足らずで選手権ベスト8常連・プレミアリーグ経験校へと駆け上がった。最大の勲章は、2022年カタール大会に続き2026年北中米大会でもW杯日本代表に名を連ねたFW町野修斗(ボルシアMG)の存在。今大会は遠藤航の負傷離脱を受けた劇的な追加招集で、2大会連続の「追加招集からのW杯」となった(W杯代表26人の出身校特集)。
スタイル: 創部から指揮を執るのは、四日市中央工業時代にインターハイ全国優勝を経験し、ガンバ大阪アカデミーやベガルタ仙台で指導した平野直樹監督。「個人の判断力を伴った、インテンシティの高いトランジションサッカー」を志向し、前線には町野や林大地のような「起点になり、自ら決め切れる」ストライカーを育て続ける。近年はゲーゲンプレス(即時奪回)と緻密なポジショナルプレーを融合させ、Jユース勢にとっても最も戦いにくい高体連チームのひとつだ。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | 2013・2014年度に2年連続ベスト8 | 初出場の2013年度は3回戦で青森山田をPK戦で撃破する大金星 |
| 全国高校総体(インターハイ) | 2015・2016年に2年連続ベスト8 | 新興校から「全国の常連」へ |
| 高円宮杯 プレミアリーグWEST | 2022・2023年 参戦 | 2021年のプリンスリーグ関西優勝で昇格 |
| 高円宮杯 プリンスリーグ関西1部 | 優勝(2021年) | 2026年も4位につけプレミア復帰を狙う |
→ 2018年には平野監督が日本高校サッカー選抜の監督に就任し、ドイツ・デュッセルドルフ国際ユース大会で優勝。指導力そのものが全国区の評価を受けている。
チームの歩み
ゼロからの創部(2003年〜)
- 2001年:学校法人が茨木市の企業グラウンドを取得し、本格的なサッカー部創設を構想
- 2003年:平野直樹監督を招聘して創部。自ら1年かけて中学生をスカウトし、部員枠は「1学年16人」の少数精鋭でスタート。指導が行き届く濃密な環境が、後の躍進の土台となった
全国区への飛躍(2010年代)
- 2013年度:第92回選手権に初出場でいきなりベスト8。3回戦では青森山田を1-1からのPK戦で下す大金星(準々決勝は四日市中央工業にPK戦で惜敗)
- 2014年度:選手権2年連続ベスト8。2015・2016年はインターハイも連続ベスト8
- 2018年:平野監督が日本高校サッカー選抜監督としてデュッセルドルフ国際ユース大会優勝
プレミアの舞台と現在(2020年代)
- 2021年:プリンスリーグ関西優勝
- 2022・2023年:最高峰のプレミアリーグWESTで強豪Jユースと鎬を削り、チームの基準を一段引き上げる
- 2026年:OBの町野修斗が2大会連続のW杯日本代表入り。チームはプリンス関西1部でプレミア復帰を追う
強さの4本柱:プロ輩出工場「履正社モデル」
① 特待生制度に頼らない「志願者の集団」
全国の強豪私立では一般的な学費免除の特待制度を採用していない。「平野監督のもとで成長したい」という内的動機を持つ選手だけが集まるため、学習意欲と帰属意識の高い自己組織化されたチームができあがる。
② 「先輩が照らすナイター」——LEDライトの継承文化
プロ選手を輩出するたび、FIFAの連帯貢献金などを後輩のために還元し、グラウンドのLED照明を一灯ずつ増やしていく独自の文化を持つ。夜間練習のたびに「次のプロは自分だ」という目標を視覚的に刻み込む、履正社最大のアイデンティティだ。
③ プロ仕様の環境と関西最強クラスのパイプライン
2011年に全面人工芝化された履正社茨木グラウンドを拠点に、ガンバ大阪・セレッソ大阪のジュニアユースからアイリスFC住吉・RIPACE SCなど関西屈指の街クラブまで、幅広い供給網からタレントが集結。Jユースへの昇格を逃した選手が履正社で再起し、プロへ返り咲くケースも多い。
④ 国際化と「世界基準」の人間教育
カナダの教育委員会と提携した留学プログラムや海外留学生の受け入れなど、学校を挙げたグローバル化が進む。語学力と異文化理解は、町野のように欧州で戦う未来を見据えた育成の一部だ。
輩出した主なプロ選手
- 町野 修斗(FW、ボルシアMG=ドイツ1部):2022年・2026年と2大会連続のW杯日本代表。卒業後に横浜FM→北九州→湘南とJ3も経験しながら這い上がり、キールでのブンデスリーガ2桁得点を経て名門ボルシアMGへ。2026年大会は遠藤航の負傷離脱を受けて追加招集された
- 林 大地(FW、ガンバ大阪):東京五輪日本代表。ベルギー・ドイツでの武者修行を経て古巣G大阪に復帰し、背番号9を背負う
- 田中 駿汰(MF/DF、セレッソ大阪):北海道コンサドーレ札幌を経て移籍し、2026年はクラブのキャプテンとして背番号10を担う万能型
- 平岡 大陽(MF、京都サンガF.C.):湘南のインサイドハーフとして活躍後、2026年に京都へ完全移籍
- 名願 斗哉(MF、川崎フロンターレ):独特のリズムのドリブラー。ベガルタ仙台への育成型期限付き移籍を経て2025年夏に川崎へ復帰
- 木村 有磨(MF、レノファ山口):U-17日本代表歴を持ち、2025年から山口でプロのキャリアをスタートさせた若手
※2026 W杯日本代表26人のうち、追加招集の町野修斗が履正社OB(W杯代表26人の出身校特集)。J1の主力からJFL・地域リーグで研鑽を積む若手まで、OBの活躍の裾野は広い。
補足:プロ選手の所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報はJリーグ公式などでご確認ください。
2026年の注目選手
| 選手 | 学年 | 前所属・備考 |
|---|---|---|
| 小池 聡一郎(MF) | 2年 | 神戸FC/2026年関西選抜。開幕戦の先制点などリーグ3得点と、2年生ながら攻撃の中心 |
| 相澤 伶実(MF) | 2年 | FCフェルボール愛知/2026年U-17日本高校選抜に選出された世代屈指のタレント |
| 梶谷 一晟(DF) | 2年 | アイリスFC住吉/2026年関西選抜入りした守備の若き軸 |
| 松下 波留(GK) | 2年 | AS.SOLVIENTO四日市/2024年大阪府国体選抜の実力派守護神候補 |
| 溝部 龍(FW) | 1年 | FCグランリオ鈴鹿/町野修斗と同郷・三重県伊賀出身のストライカー。「町野2世」への期待がかかる |
| 伊東 雅葵(MF) | 1年 | セレッソ大阪U-15/ルーキーリーグで得点源となる即戦力ルーキー |
→ このほか、リーグ戦では長夏輝(3得点)・藤川迅・髙屋敷永輝・谷井丈優らが得点を重ねる。下級生に選抜クラスがずらりと並ぶ陣容は、数年先まで楽しみな黄金世代の予感だ。
2026年プリンスリーグ関西1部 序盤戦
| 節 | 日付 | 試合 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/5 | vs 近江 | ○ 3-1(小池の先制点から快勝発進) |
| 第2節 | 4/12 | vs 京都橘 | ● 0-3 |
| 第3節 | 4/18 | vs 興國 | ○ 1-0(髙屋敷の決勝点で大阪ダービー制覇) |
| 第4節 | 4/25 | vs セレッソ大阪U-18 | ● 2-4 |
| 第5節 | 4/29 | vs 大阪産大附 | ○ 1-0(藤川のゴールを守り抜く) |
| 第6節 | 5/4 | vs 京都サンガF.C. U-18 | ○ 3-1(強豪Jユースから逆転勝利) |
| 第7節 | 5/10 | vs 神戸弘陵 | △ 2-2 |
→ 第7節終了時点で4勝1分2敗・勝点13の4位。敗戦は無敗の首位・京都橘とセレッソ大阪U-18のみで、京都サンガF.C. U-18からの逆転勝利など上位争いに食い込む地力は十分だ。2年生中心の若いチームでプレミアリーグWEST復帰を狙う後半戦に注目したい。最新順位はプリンスリーグ関西1部 順位表で毎日更新中。