チームの特徴
専修大学北上高校サッカー部は、プリンスリーグ東北所属(2026年現在)、岩手県北上市を本拠地とする岩手の新たな盟主。長く盛岡商業・遠野という公立伝統校の「二強時代」が続いた岩手で、2010年代から急速に台頭。2019年に悲願の全国初出場(インターハイ・選手権)を果たし、2026年もインターハイ岩手予選決勝で遠野を2-0で完封して5大会ぶり3回目の全国切符をつかんだ。
スタイル: チームスローガンは「栄光に近道なし」。フィジカルや縦への蹴り込みが偏重になりがちな東北の高校サッカーにおいて、あえてボールを大切に繋いで主導権を握る「ポゼッションサッカー」を貫く。2000年就任の小原昭弘監督(盛岡商業OB)は、サッカーの技術だけでなく「人間性の向上に努め、自らの立ち位置を理解して考えて行動すること」を選手に求め、指示待ちではなくピッチ内で自ら戦術を修正できる「自立した選手」を育て続けている。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校総体(インターハイ) | 出場3回(2019・2021・2026) | 2026年は岩手予選決勝で遠野を2-0で下し5大会ぶりの全国へ |
| 全国高校サッカー選手権 | 2019年度に初出場、2024・2025年度は連続出場 | 2025年度は吉池晃大主将が国立での開会式で選手宣誓 |
| 高円宮杯 プリンスリーグ東北 | 3位(2026年第8節終了時点) | 2強(尚志・青森山田2nd)にいずれも1点差の接戦 |
| 県大会 | 2019年に県高総体・県選手権・県リーグ全カテゴリー1位の「完全制覇」 | 岩手の勢力図を塗り替えた |
→ 女子サッカー部も県高総体・県選手権13年連続優勝という前人未到の記録を持つ絶対王者。全国でもインターハイベスト8・選手権ベスト16の実績を誇り、男女そろって岩手サッカーを牽引している。
チームの歩み
中堅校の時代(1964年〜)
- 1964年:創部。翌1965年に岩手県サッカー協会へ加盟
- 数十年にわたり県内中堅にとどまり、全国制覇経験を持つ盛岡商業や遠野の後塵を拝し続けた
小原体制と台頭(2000年〜)
- 2000年:盛岡商業OBの小原昭弘監督が就任。基礎技術と戦術理解の徹底で急成長が始まる
- 2012年:選手権岩手県大会で盛岡商業を撃破し初の決勝へ(PK戦の末に準優勝)
- 2016年:県大会準決勝で盛岡商業に延長戦の激闘を制すも、決勝で遠野に逆転負け
悲願の全国と黄金期(2019年〜)
- 2019年:県高総体で盛岡商業を破り初優勝。同年は県選手権・県リーグ全カテゴリーも制する「完全制覇」で、インターハイ・選手権に初出場
- 2021年:創立70周年の年に県高総体で準決勝・盛岡商業、決勝・遠野と伝統2校を連破して優勝
- 2024・2025年:県選手権を連覇し、2025年度は選手権の開会式で吉池晃大主将が選手宣誓(同郷の大谷翔平選手へのリスペクトを込めたスピーチが話題に)
- 2026年:県高総体決勝で遠野を2-0で完封し、5年ぶりの優勝で全国へ
強さの4本柱:岩手の勢力図を塗り替えた「専大北上モデル」
① 「栄光に近道なし」の人間教育
朝6時25分の起床・点呼に始まる寮の規律ある生活と、「どんな状況になっても3年間やり続けること」を求める指導。日々の地道な積み重ねとピッチ外の人間形成こそが勝利への唯一の道、という信念がチームの精神的支柱だ。
② 専用寮「栄光寮」と徹底した生活管理
2021年に新設・大規模改装されたサッカー部専用寮。地元企業と連携した栄養バランスの取れた手作りの3食、味の素株式会社による栄養講習会、20時まで使えるウェイトルームなど、プロ顔負けの環境で選手の自己管理能力を育てる。
③ 2024年完成の人工芝グラウンド
長く河川敷の土のグラウンドで強化してきたが、後援会の支援により2024年9月に待望の専用人工芝グラウンドが完成。天候に左右されない高品質な環境が、ポゼッションサッカーの精度をさらに引き上げた。
④ 「SVきたかみFC」と関東からのタレント流入
下部組織的クラブ「SVきたかみFC」で中学生年代からドリブル・個人戦術に特化した指導を行い、高校のスタイルへスムーズに接続する中高一貫的パイプラインを確立。さらにFC LAVIDA(埼玉)・ヴェルディレスチ(千葉)・スポルティング品川(東京)など関東の強豪クラブ出身者も「栄光寮」に集い、東北の粘り強さと都市部のテクニックが融合している。
輩出した主なプロ選手
サッカー部からのJリーガーはまだ誕生していないが、学校側も「近い将来に本校サッカー部からJリーガーが生まれるようなチームになりたい」と公式に目標を掲げており、卒業生は専修大学・早稲田大学・流通経済大学・仙台大学など大学サッカーの強豪で多数活躍している。
- 安藤 百合香(女子サッカー部OG):専大北上初の「なでしこリーガー」。高校3年時の大怪我を乗り越え、働きながら愛媛FCレディース(なでしこリーグ1部)とのプロ契約を勝ち取った不屈のストーリーは「栄光に近道なし」の体現そのもの(2022年シーズンをもって退団)
- 学校全体では、プロ野球・ヤクルトスワローズで活躍した畠山和洋氏(野球部)など各競技にトップアスリートを輩出
※2026 W杯日本代表26人に専大北上OBの選出はなし(W杯代表26人の出身校特集)。充実した育成環境から「岩手発のJリーガー第1号」が生まれる日は遠くないはずだ。
2026年の注目選手
攻撃の核
| 選手 | 学年 | 前所属・備考 |
|---|---|---|
| 爲我井 寿希也(MF) | 3年 | ヴェルディレスチ(千葉)/前線への果敢な飛び出しと決定力。第8節までにリーグ4得点と勝負強さが光る |
| 藤原 春弥(MF) | 3年 | MIRUMAE FC/クリエイティブなパスセンスで攻撃のタクトを振るう。リーグ3得点 |
| 菅谷 豪太(MF) | 3年 | FC LAVIDA(埼玉)/鋭いボール奪取とパス供給。開幕戦の決勝点を含むリーグ2得点 |
| 佐藤 樹(MF) | 2年 | いわてグルージャ盛岡JY/豊富な運動量で攻守を繋ぐリンクマン。第4節で2得点 |
守備陣・GK
| 選手 | 学年 | 前所属・備考 |
|---|---|---|
| 小笠原 優人(DF) | 3年 | 五戸すずかけSC/対人の強さに加え、セットプレーからリーグ2得点と得点力も備える |
| 田沼 来冴(DF) | 3年 | RENUOVENS OGASA FC/最終ラインからの精度の高いビルドアップの起点 |
| 千葉 悠雅(GK) | 3年 | ヴェルディSS岩手/守備陣の統率と精度の高いシュートストップ |
→ 岩手県内の育成組織出身者と関東の強豪クラブ出身者が融合した、専大北上らしさが凝縮された陣容だ。
2026年プリンスリーグ東北 序盤戦
| 節 | 日付 | 試合 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | vs 学法石川 | ○ 1-0(菅谷の決勝点で完封発進) |
| 第2節 | 4/11 | vs 聖和学園 | ● 0-2 |
| 第3節 | 4/18 | vs 盛岡商業 | ○ 2-0(小笠原・藤原で県内ライバルに快勝) |
| 第4節 | 4/25 | vs 東北学院 | ○ 7-0(佐藤・爲我井が2発ずつのゴールラッシュ) |
| 第5節 | 5/2 | vs 尚志 | ● 1-2(先制するも終盤に逆転負け) |
| 第6節 | 5/6 | vs ブラウブリッツ秋田U-18 | △ 1-1 |
| 第7節 | 5/10 | vs 青森山田2nd | ● 2-3(90+1分に追いつく粘りも直後に決勝点を許す激闘) |
| 第8節 | 5/17 | vs 帝京安積 | ○ 1-0(DF小笠原が決勝点) |
→ 第8節終了時点で4勝1分3敗・勝点13の3位。無敗で並走する2強・尚志と青森山田2ndにいずれも1点差まで迫った内容は、優勝争いに食い込む実力の証明だ。6月の県高総体では決勝で遠野を2-0で下し、7月末のインターハイ全国大会出場も決定。最新順位はプリンスリーグ東北 順位表で毎日更新中。