チームの特徴
瀬戸内高校サッカー部は、プリンスリーグ中国所属(2026年現在)、広島県広島市を本拠地とする新興の強豪。広島皆実・広島観音といった公立伝統校が築いた序列の中で、2000年創部という後発ながら、専用人工芝・専用寮・GPSデータ活用などの「現代的なユース育成の最適解」を次々と導入し、十数年で県の頂点に立った。旧来の部活動から「プロフェッショナル・ユース組織」へ移行したモデルケースであり、2026年はインターハイ広島予選を3連覇して全国へ進んだ。
スタイル: 中核は「ポゼッションスタイル」の徹底と、選手に状況判断を委ねる「考えるサッカー」。前監督(のち校長)の安藤正晴氏が築いた土台に、2019年から全国に先駆けてウェアラブルGPS「KNOWS」を本格導入し、走行距離・スプリント・心拍を可視化して「誤魔化しの効かない」客観的な強化環境を構築した。現在の田中健二郎監督は「私学が頑張って広島を変える」と掲げ、ポゼッションに現代的なトランジションの速さとハイインテンシティを融合。後方からのビルドアップと、個の推進力を活かしたショートカウンターを併せ持つ。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | ベスト4(2018年度・初出場) | 第97回大会。広島県勢として10年ぶりの4強進出 |
| 全国高校総体(インターハイ) | 出場10回以上/広島予選3連覇(2024〜2026年) | 2026年は決勝で沼田を6-0と圧倒し3大会連続の全国へ |
| 高円宮杯 プリンスリーグ中国 | 上位常連・首位争い | 2026年は開幕6連勝を記録 |
| 全国高校総体(2016年) | ベスト8 | 安部裕葵が大会優秀選手に選ばれ高卒プロ入りのきっかけに |
→ 2018年度の選手権初出場ベスト4で全国にその名を轟かせ、以降は中国地方を代表するメガクラブへ成長。2026年もインターハイ広島予選を3連覇で制し、全国の常連としての地位を固めている。
チームの歩み
創生期と「皆実の壁」(2000年〜)
- 2000年:創部。フットサル日本代表招集歴を持つ安藤正晴監督(のちに校長)が指導理論の土台を築く
- 県大会決勝で過去6度にわたり広島皆実に敗れて準優勝。「皆実の壁」に跳ね返され続けたこの苦難期に、「自ら考えられる人間を育てる」という人間教育重視の哲学が芽生えた
データ革命と全国ベスト4(2010年代後半)
- 2016年:インターハイでベスト8。安部裕葵が高卒で鹿島入りし、全国に「瀬戸内なら成長できる」ブランドが浸透
- 2018年度:第97回選手権に悲願の初出場。2回戦・都市大塩尻、3回戦・岡山学芸館、準々決勝・日本航空を破り初出場ベスト4(準決勝は流経大柏に0-5)
- 2019年:GPS「KNOWS」を本格導入し、データドリブンな強化へ
田中体制と現在(2020年代〜)
- 安藤体制の土台に、田中健二郎監督が強度とトランジションの速さを融合。インターハイ広島予選を2024・2025・2026年と3連覇。2026年は決勝で沼田を6-0と圧倒し、3大会連続で全国出場を決めた
強さの3本柱:データ×寮×広域スカウト
① ハードとソフトの融合(施設×GPS)
安芸郡府中町に総面積25,633㎡の「松本学園スポーツセンター」を保有し、ナイター完備の専用人工芝グラウンドと専用寮「宏隆館」、学校前の「若草寮」を整備。グラウンド・学校・寮が近接する理想的な導線に、GPSデータサイエンスを掛け合わせ、根性論を排した負荷管理型の近代的トレーニングを実現している。
② 「あえて高体連」を選ばせる広域スカウト
本田圭佑が関与する東京の街クラブS.T.FOOTBALL CLUB(安部裕葵らを輩出)との強力なパイプを起点に、レノファ山口・セレッソ大阪U-15・サンフレッチェ広島JY・FC今治・JFAアカデミー福島など全国のJ下部から才能が集結。JユースのU-18に上がらず「あえて瀬戸内の寮生活とプリンスリーグ」を選ぶ動線を作り出した。
③ 地域密着と中高一貫ビジョン
2021年に府中町の小中学生向けフットボールアカデミーを開校。高校生も指導に加わり、U-12・U-15年代からの一貫指導と長期的なタレント発掘ネットワークを志向する、Jクラブ型の持続可能なモデルを構築している。
輩出した主なプロ選手
高卒直接プロと、大学経由でJリーグへ進む堅実なルートの双方が確立されている。
- 安部 裕葵(FW/MF、浦和レッズ):S.T.FC出身。瀬戸内から鹿島へ高卒プロ入りし、Jリーグベストヤングプレーヤー賞を受賞。2019年にFCバルセロナBへ移籍、日本代表でも10番を背負った同校最高のタレント
- 浜下 瑛(MF、Y.S.C.C.横浜):産業能率大を経てプロ入り。栃木・徳島・愛媛を経て2025年に横浜へ。J1・J2で経験豊富なサイドアタッカー
- 有吉 勇人(DF、ツエーゲン金沢):甲南大を経て2026年に加入した183cmの屈強なCB
- 佐野 竜眞(FW、カマタマーレ讃岐):大阪体育大を経て2026年に加入。圧倒的なスプリント力と馬力が武器
→ 大学4年間で伸び続ける土台(戦術理解・人間性・フィジカル)を高校で築く育成方針が、安定したプロ輩出の背景にある。
※2026 W杯日本代表26人に同校OBの選出はなし(W杯代表26人の出身校特集)。
補足:プロ選手の所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報はJリーグ公式などでご確認ください。
2026年の注目選手
いずれも2026年度に在学中の高校生。氏名・学年・背番号・前所属は公式戦の登録メンバー・瀬戸内高校サッカー部公式HPに基づき、得点は2026年プリンスリーグ中国の公式記録で確認した。
| 選手 | 学年 | ポジション・備考 |
|---|---|---|
| 大西 崇翔(FW・23番) | 2年 | F.C.コーマラント出身。第2〜4節で連続得点する2年生エースストライカー |
| 平岡 俊輔(FW) | 3年 | 就実戦・大社戦などで得点を重ねる前線の決定力 |
| 保手濱 慶次(DF・3番) | 2年 | シーガル広島JY出身。最終ラインの軸ながらセットプレーや攻撃参加で重要な得点を奪うCB |
| 山口 朔空(FW・9番) | 3年 | 広島FURUTA FC U-15出身。背番号9を背負う前線のタレント |
| 片岡 優(FW・10番) | 3年 | JFAアカデミー福島U-15出身。背番号10のアタッカー |
| 中川 祐紀(MF・8番) | 3年 | シーガル広島JY出身。中盤を司るゲームメイカー |
| 田平 悠斗(GK・1番) | 3年 | レノファ山口FC U-15出身。最後尾からビルドアップを支える守護神 |
→ レノファ山口・セレッソU-15・サンフレッチェJYなどJ下部出身者が骨格を担う。DFからも点が取れる流動的で厚みのある攻撃が、長丁場のリーグ戦での安定感を支える。なお安部裕葵ら卒業生のプロは上記には含めず、現役の在学生のみを掲載している。
2026年インターハイ広島県予選(沼田を6-0で破り3連覇・全国へ)
| ラウンド | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|
| 準決勝 | 広島皆実 | ○ |
| 決勝 | 沼田 | ○ 6-0 |
→ 準決勝で県のライバル広島皆実を破り、決勝では沼田を6-0と圧倒。インターハイ広島予選3連覇(2024〜2026年)=3大会連続の全国出場を決めた。7月末のインターハイ全国大会に広島代表として臨む。
2026年プリンスリーグ中国 序盤戦(開幕6連勝で首位争い)
| 節 | 日付 | 対戦相手 | 結果 | 得点者 |
|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | 広島皆実 | ○ 2-1 | 濱田圭吾・松下湊 |
| 第2節 | 4/11 | 玉野光南 | ○ 4-0 | 池田在・大西・井上正之亮・森奎道 |
| 第3節 | 4/18 | 立正大淞南 | ○ 3-1 | 井上礼治・大西・竹内 |
| 第4節 | 4/25 | 就実 | ○ 3-1 | 平岡・大西・山田 |
| 第5節 | 4/29 | 大社 | ○ 5-0 | 竹内・平岡・保手濱・森・松下 |
| 第6節 | 5/9 | レノファ山口FC U-18 | ○ 1-0 | — |
| 第7節 | 5/16 | 岡山学芸館 | ● 1-2 | 今季初黒星 |
| 第8節 | 5/23 | 作陽学園 | △ 1-1 | 保手濱(85分) |
→ 第8節終了時点で6勝1分1敗(勝点19)。開幕6連勝で単独首位を快走し、第7節の岡山学芸館との直接対決で初黒星を喫したものの、得失点差(得20・失6・+14)はリーグ屈指。DFの保手濱まで得点に絡む「どこからでも取れる」厚みが武器だ。最新の順位はプリンスリーグ中国 順位表で確認できる。