チームの特徴
愛媛FC U-18は、トップチームのJリーグ参入(2006年)よりはるかに早い1994年に「愛媛FCユース」として創設された、四国を代表する育成組織。プリンスリーグ四国を5度制覇し、全国最高峰のプレミアリーグWESTにも3度参戦してきた。近年は島佑成(ハンマルビーIF=スウェーデン)のように、四国から直接欧州へ羽ばたくルートまで切り拓いている。
スタイル: 育成の土台にあるのは、2008年に締結したドイツ・ブンデスリーガ「SCフライブルク」とのフレンドシップ協定(松山市とフライブルク市が姉妹都市であることが縁)。指導者交流を通じて、プレッシングの連動性とボール非保持時の献身的なフリーランニングというドイツ流のインテンシティを育成カリキュラムに取り込んできた。北内耕成監督(JFA公認A級/クラブのヘッドオブコーチ兼U-18監督)のもとでは、前線からのアグレッシブなプレッシングとボール奪取後の速いトランジションが軸。ビハインドを背負っても崩れず、試合終盤に得点を重ねるスタミナが最大の武器になっている。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 高円宮杯 JFA U-18プリンスリーグ四国 | 優勝多数(プレミアリーグ創設=2011年以降だけでも2013・2018・2022・2024・2025年の5回) | 2000年代(2003〜2010年)にも複数回制覇しており、通算では10回超。四国の絶対王者 |
| 高円宮杯 JFA U-18プレミアリーグWEST | 参戦3回(2011・2012・2019年) | サンフレッチェ広島ユースやガンバ大阪ユースら全国のメガクラブと真剣勝負 |
| 高円宮杯 JFA U-18プリンスリーグ四国(2026) | 第9節終了時点 首位 | 8勝0分1敗・勝点24・27得点9失点(得失点差+18/リーグ最多得点) |
→ プリンスリーグ四国を何度も制覇し、プレミア参入戦にも幾度となく挑んできた四国の王者。2025年もプレーオフに進出したが全国の壁に阻まれており、「悲願のプレミア復帰」が2026年の最大のテーマになっている。
チームの歩み
創生期(1994年〜):天皇杯での歴史的快挙
- 1994年:「愛媛FCユース」として創設。1997年にはジュニアユース(U-15)も創設し、早くから中高一貫の土台を作った
- 1997年の天皇杯(第77回):愛媛県代表として出場した高校生年代(2種)のユースチームが、JFL(1種)の北陸電力をVゴールで撃破。天皇杯史上でも稀な「2種が1種を破る」快挙で、当時2得点を挙げたのが青野大介(後にガンバ大阪・ヴィッセル神戸などで活躍し、引退後は愛媛FCのU-18監督・強化責任者を歴任)だった
- この成功体験が、「トップチームより強い」とまで言われたアカデミーの勝者のメンタリティとして刻まれた
体制確立(2008年〜):SCフライブルクとの提携
- 2008年、SCフライブルクとフレンドシップ協定を締結。ドイツ屈指の育成クラブとの継続的な指導者交流(直近では2024年にも現地を訪問しU-17ブンデスリーガを視察)が、戦術的インテンシティを重視する現在の育成カリキュラムの原型になった
黄金期(2011年〜)
- 2011年・2012年・2019年:プレミアリーグWESTに参戦
- 2013・2018・2022・2024・2025年:プリンスリーグ四国を制覇(2000年代にも複数回優勝しており、通算では10回を超える)
- 2019年:アカデミー寮が完成。全国からのスカウトが可能になり、チームの構成が一変した
現在
- 2026年:北内耕成監督のもと、プリンスリーグ四国で首位を快走。徳島ヴォルティスユースとの2強対決が優勝とプレミア参入戦への鍵を握る
育成システム:地方クラブの「磁力」
① アカデミー寮 × 全国スカウティング
2019年に「愛フィールド梅津寺」に隣接して完成したアカデミー寮が、スカウト戦略を根本から変えた。現在のU-18には、サンフレッチェ広島JY(實田航大・森岡詩太)、セレッソ大阪U-15(坂田康祐・佐竹海力・大田琉維)、サガン鳥栖U-15(佐藤優馬・上杉迅)、Solidarise沖縄/ヴィクサーレ沖縄(宮城虎太・玉城千也・玉那覇笙・石川奏) など、中国・関西・九州・沖縄から集まった選手が並ぶ。愛媛にいながら全国レベルの競争環境を内部に作り出している。
② 中高一貫と教育提携(デュアルキャリア)
1997年設立のU-15に加え、2011年にU-15新居浜を創設し、県内広域からの内部昇格ルートを構築。さらに2011年に聖カタリナ大学、2016年に聖カタリナ学園高等学校と連携し、学業と競技を両立できる環境を整えている。
③ SCフライブルク流の指導
姉妹都市の縁から始まった提携は、単なる交流にとどまらず指導者がドイツで学び、そのメソッドを持ち帰るサイクルとして機能。「技術に優れた選手」だけでなく、戦術理解度が高く90分ハードワークできる組織的な選手を継続的に生み出す土壌になっている。
輩出した主なプロ選手
- 島 佑成(DF、ハンマルビーIF=スウェーデン):ヴィッセル神戸のアカデミーを経て愛媛FC U-18に加入し、高校在学中にプロ契約(2024年)。2025年6月にスウェーデン1部へ完全移籍し、高校生年代から北欧トップリーグへ直接羽ばたくという快挙を成し遂げた
- 川井 健太(北海道コンサドーレ札幌 監督):愛媛FCユース出身。サガン鳥栖などで指揮を執り、2026年より札幌を率いる。アカデミー出身者がJクラブのトップチーム監督を務める希有な例
- 青野 大介:1997年天皇杯のVゴール世代。ガンバ大阪・ヴィッセル神戸・アルビレックス新潟などでプレーし、引退後は愛媛FCのU-18監督、そしてクラブの強化責任者(GM/フットボールダイレクター)を歴任した
- 行友 翔哉(MF、愛媛FC):トップ昇格後、ポルトガル1部・FCファマリカンへの期限付き移籍で海外を経験して復帰
- 曽根田 穣(MF、愛媛FC):甲府・京都・水戸を経て古巣へ帰還し、主軸としてプレー
- 小野 成夢(DF、清水エスパルス加入内定):京都産業大を経て、2027年からの清水加入が内定
- ほかにも、吉村圭司・前野貴徳(現・鹿島アントラーズのスカウト)・忽那喬司・三原秀真・黒川雷平・牧口一真・増谷幸祐ら、多くのOBがプロの世界へ進んでいる
補足:プロ選手の現所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報はJリーグ公式や各クラブ公式でご確認ください。
→ 特筆すべきはキャリアパスの多様性。関西の大学(関西学院大・立命館大・びわこ成蹊スポーツ大など)を経由する伝統的ルートに加え、トップ昇格後にレンタルで実戦を積むルート、そして高校生年代から直接欧州へ渡るルートまで揃った。さらに川井健太(Jクラブ監督)・青野大介(GM)・前野貴徳(スカウト)と、ピッチ外でサッカー界を支える人材も生み出している。
2026年の注目選手
- 山岡 遥斗(FW/クラブ公式ではU-16カテゴリー登録=最年少世代):リーグ6得点でチーム得点王。開幕戦の先制点、第3節のカマタマーレ讃岐U-18戦の決勝弾、第8節・大手前高松戦の逆転決勝ゴールなど、勝負どころで決める。愛媛FC U-15からの生え抜き
- 菅 範十(FW/愛媛FC U-15出身):リーグ5得点。前線で山岡と2枚看板を形成
- 石原 拍(3得点)/吉岡 空叶(3得点):第7節・高知戦の90分の決勝弾(吉岡)など、勝負強い得点を重ねる
- 仙波 隼太郎・小松 海晴・塩見 勇貴(愛媛FC U-15出身):地元育ちの選手がチームのコアを形成
- 宮城 虎太・玉城 千也・玉那覇 笙・石川 奏(沖縄出身)/實田 航大・森岡 詩太(サンフレッチェ広島JY出身):アカデミー寮を活用した越境入団組が競争を加速させている
※学年はJFA等で公表されていないため個別には記載していません。カテゴリー(U-18/U-17/U-16)はクラブ公式の選手紹介に基づきます。
2026年プリンスリーグ四国 序盤戦
| 節 | 日付 | 対戦 | H/A | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | vs 新田高校 | H | ○ 7-0 |
| 第2節 | 4/11 | vs 県立徳島商業高校 | A | ○ 3-2 |
| 第3節 | 4/18 | vs カマタマーレ讃岐U-18 | H | ○ 1-0 |
| 第4節 | 4/25 | vs 県立今治東中等教育学校 | H | ○ 5-1 |
| 第5節 | 5/2 | vs FC今治 U-18 | A | ○ 2-1 |
| 第6節 | 5/9 | vs 徳島市立高校 | A | ○ 4-1 |
| 第7節 | 5/16 | vs 高知高校 | H | ○ 3-2 |
| 第8節 | 6/27 | vs 大手前高松高校 | H | ○ 2-1 |
| 第9節 | 7/4 | vs 徳島ヴォルティスユース | A | ● 0-1 |
→ 第9節終了時点で8勝0分1敗・勝点24、プリンスリーグ四国の首位(27得点9失点・得失点差+18)。開幕から8連勝でリーグを席巻し、27得点はリーグ最多。第2節・第4節・第8節と先制されながら逆転勝ちした試合が3つあり、終盤にギアを上げる運動量とメンタリティがこのチームの真骨頂だ。
第9節の徳島ヴォルティスユースとの首位攻防戦で0-1と今季初黒星。リーグ最少失点(5)の徳島に初めて完封され、勝点24で並ばれたが得失点差で首位を維持している。両者の再戦は11月28日(愛媛ホーム)で、これが事実上の四国王者決定戦。プレミアリーグ参入戦の切符をかけた戦いは後半戦へ持ち越された。
※試合結果・順位は高校サッカードットコム(koko-soccer.com)のプリンスリーグ四国ページを出典に照合。本サイトの順位データとも一致(第9節終了時点)。順位は毎日の自動更新で最新化されます。