チームの特徴
大手前高松高校サッカー部は、東京大学や国公立大学医学部、早慶などへの進学実績を誇る香川県屈指の進学校でありながら、高円宮杯プリンスリーグ四国の常連として全国高校サッカー選手権にも複数回出場する、進学校と強豪校の二刀流を体現するチームである。2008年就任の川上暢之監督が、部員わずか6名・公式戦初戦0-17という絶望的な出発点から、約20年をかけて県内屈指の強豪へと育て上げた。
スタイル: 川上監督が掲げるのは、理想論に偏らない徹底した現実主義(プラグマティズム)。「持たれても、抑えればいいやと我慢できるようになった。ボールの握り合いが目標になると、持てない時にストレスを感じる」という言葉に象徴されるように、相手にボールを支配される時間帯を「守備陣形を整える時間」と捉え直し、選手から心理的なストレスを取り除く守備メンタリティを浸透させている。堅守からリズムをつかみ、ピッチを広く使ったサイド攻撃へ展開するのが基本線で、試合の膠着状態を打破する武器としてロングスローを含むセットプレーを戦術的に重視する。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | 3回出場(第98・99・102回) | 第98回(2019年度)で悲願の初出場、第99回(2020年度)で2年連続出場、第102回(2023年度)で3年ぶり3回目の出場 |
| 四国高校サッカー選手権(四国総体) | 優勝(2025年・第74回) | 6年ぶり2度目の四国制覇。決勝は高知中央に3-2 |
| 高円宮杯 JFA U-18プリンスリーグ四国(2026) | 前半戦3位 | 第9節終了時点・3勝5分1敗・勝点14・15得点11失点 |
| 香川県高校サッカー新人大会(2025-26) | 準優勝 | 準々決勝で四国学院大学香川西を3-2、決勝は藤井学園寒川に0-1 |
| 全国高校総体(インターハイ)香川県予選(2026) | ベスト4 | 準決勝で四国学院大学香川西にPK戦(7-8)で惜敗 |
チームの歩み
創生期(2008年〜):部員6名・0-17からの出発
- 2008年、川上暢之監督が就任。就任初年度に在籍した部員はわずか6名で、公式戦に出場するため体育の授業でサッカー経験のある一般生徒をかき集めた急造チームで全国選手権香川県予選に挑んだ
- 初戦で高松中央高校に「0-17」という歴史的大敗を喫する
- 翌2009年から強化指定クラブとなり、本格的な強化がスタートした
台頭期(2016〜2019年):3大会連続で香川西の壁に散る
- 2016年度、高円宮杯プリンスリーグ四国へ昇格
- 2018年度(第97回選手権)、初めて香川県予選決勝へ進出するも四国学院大学香川西(当時・香川西)に敗れる
- 2019年のインターハイ予選決勝でも同じく香川西に敗退。新人戦を含め3大会連続で決勝の壁(いずれも香川西)に阻まれる
悲願の初出場(2019年度・第98回選手権)
- 2019年11月9日、選手権香川県予選決勝で3大会連続となる香川西戦。後半12分、滝平昂也の左ロングスローが相手のオウンゴールを誘発し1-0で勝利。強化開始から10年目にして悲願の初出場を果たした
定着期(2020〜2023年)
- 第99回(2020年度)は香川予選を連覇し2年連続出場
- 第102回(2023年度)は3年ぶり3回目の全国切符を獲得
現在(2025年〜)
- 2025年6月、第74回四国総体決勝で高知中央を3-2で下し、6年ぶり2度目の四国制覇を達成
- 2026年、プリンスリーグ四国は前半戦を3位で折り返し、インターハイ香川予選はベスト4まで進出した
育成システム
大手前高松は「六年一貫コース」による中高一貫教育を土台に、施設・人材の両面で強豪校としての基盤を築いている。学校外には部専用の倉田学園総合グラウンドを保有し、地方の学校では珍しい天然芝フルピッチ+ナイター設備を完備。雨天時は体育館「飛翔館」を使用し、サッカー部専用の筋力トレーニングルームと部専用バスも備える。
部員数は2026年5月時点で3年20名・2年20名・1年29名。香川県内のFCコーマラント・FCディアモ・カマタマーレ讃岐U-15からの入部に加え、関西・四国各地からの越境入学者も多く在籍しており、福知山ジュニアユース(京都府)、愛媛FC新居浜U-15、徳島ヴォルティスジュニアユース、岡山セゾンFCなど広域スカウトによる人材流入がチームの選手層の厚さを支えている。
指導体制は、監督・川上暢之を中心に、部長・大須賀幸樹、コーチ・德永貴之、GKコーチ・吉沢憂、コーチ・黒木湧真、トレーナー・原田享という各分野のスペシャリストで構成される。
輩出した主なプロ選手
前田 快(まえだ こころ、MF、アビスパ福岡)
京都府出身。中学時代は京都サンガF.C. U-15に所属したが、トップチームへの登竜門であるユース昇格を見送られ、大手前高松高校へ進学。卒業後は神奈川大学へ進み、大学在学中の2025年9月、2027シーズンからのアビスパ福岡(J1)加入内定が発表された。2025・2026年はJFA・Jリーグ特別指定選手として承認され、背番号55を背負う。2026年2月8日のファジアーノ岡山戦でプロ初ゴールを記録すると、3月21日のガンバ大阪戦、5月6日の京都サンガF.C.戦でも先発出場を果たすなど、大学生ながらJ1の舞台で存在感を示している。
※2026 W杯日本代表26人に同校OBの選出はなし(W杯代表26人の出身校特集)。
補足:プロ選手の所属クラブは移籍により頻繁に変動します。最新の所属情報はJリーグ公式などでご確認ください。
2026年の注目選手
| 選手 | 学年・POS | 出身クラブ | 2026年リーグ戦成績 |
|---|---|---|---|
| 野林 和馬 | 3年・FW | エベイユFC | 4得点(チーム最多) |
| 田中 悠己 | 3年・MF | エベイユFC | 3得点 |
| 森 悠稀 | 2年・MF | アメージングアカデミー | 2得点 |
| 増田 椋哉 | 3年・MF | トラウムsvつくば | 2得点(第7節・讃岐戦90+3分の同点弾、第8節・愛媛戦10分の先制点など勝負どころでの得点力) |
| 川北 蒼葉 | 3年・FW | 福知山ジュニアユース | 1得点(2025年四国総体決勝でもゴール) |
| 八十嶋 日哉 | 3年・MF | 徳島ヴォルティスジュニアユース | 1得点 |
| 桑島 明渡 | 3年・MF | FCディアモ | 1得点(開幕戦の決勝点) |
| 若崎 佳樹 | 2年・GK | カマタマーレ讃岐U-15 | — |
※卒業生は含めない。出典:ゲキサカ得点記録+学校公式ロースター(令和8年度)。
2026年 プリンスリーグ四国 前半戦の戦績
| 節 | 日付 | 対戦相手 | H/A | スコア | 結果 | 得点者 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | 徳島ヴォルティスユース | A | 1-0 | ○ | 桑島明渡(80') |
| 第2節 | 4/11 | FC今治U-18 | H | 1-1 | △ | 八十嶋日哉(86') |
| 第3節 | 4/18 | 徳島市立 | H | 1-1 | △ | 森悠稀(74') |
| 第4節 | 4/25 | 新田 | A | 2-2 | △ | 川北蒼葉(10')、野林和馬(17') |
| 第5節 | 5/2 | 徳島商 | A | 2-1 | ○ | 野林和馬(45+1')、森悠稀(90+2') |
| 第6節 | 5/9 | 今治東中等教育学校 | H | 3-3 | △ | 野林和馬2(49', 58')、田中悠己(90+3') |
| 第7節 | 5/16 | カマタマーレ讃岐U-18 | A | 1-1 | △ | 増田椋哉(90+3') |
| 第8節 | 6/27 | 愛媛FC U-18 | A | 1-2 | ● | 増田椋哉(10') |
| 第9節 | 7/4 | 高知 | H | 3-0 | ○ | 田中悠己2(29', 79')、オウンゴール(77') |
→ 前半戦を終え3勝5分1敗・勝点14・15得点11失点(得失点差+4)で3位折り返し。首位は愛媛FC U-18・徳島ヴォルティスユースが勝点24で並走しており、10点差での3位である。第1節(80分)・第2節(86分)・第5節(90+2分)・第6節(90+3分)・第7節(90+3分)と5試合で試合終盤にゴールを記録する粘り強さが今季の勝点獲得を支えた。後半戦は9月5日、第10節・徳島ヴォルティスユース戦から再開する。最新の順位はプリンスリーグ四国で確認できる。
2026年インターハイ香川県予選
| ラウンド | 日付 | 対戦相手 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2回戦 | 5/31 | 小豆島中央 | ○ 1-0 |
| 3回戦 | 6/6 | 丸亀城西 | ○ 5-0 |
| 準々決勝 | 6/7 | 坂出商 | ○ 4-0 |
| 準決勝 | 6/8 | 四国学院大学香川西 | ● 1-1(PK7-8) |
→ 準決勝で敗れた四国学院大学香川西は初出場前から立ちはだかってきた宿敵で、2025-26シーズンは新人大会準々決勝(大手前高松が3-2で勝利)に続く2度目の対戦だった。もっとも新人大会の決勝では大手前高松も藤井学園寒川に0-1で敗れて準優勝に終わっており、2026年の香川県は大手前高松・四国学院大学香川西の「2強」に、寒川・尽誠学園も絡む混戦模様となっている。