チームの特徴
愛工大名電高校サッカー部は、愛知県名古屋市千種区にある私立・愛知工業大学名電高等学校のサッカー部である。野球部・卓球部で知られるスポーツ強豪校の中にあって、サッカー部は長く愛知県内の壁に阻まれてきたが、2019年度の全国高校サッカー選手権愛知県大会初優勝以降、着実に力をつけてきた。
その到達点が2025年度インターハイ愛知県大会での県大会初優勝(全国大会出場は2002年度以来23年ぶり2回目)であり、これを機に2026年からプリンスリーグ東海に初昇格した。
スタイル: 宮口典久監督が標榜するのは「日本一のハイプレス」である。前線から連動した高強度のプレスで相手のビルドアップを制限し、そこからのショートカウンターを狙うのが基本形だが、相手のポゼッションが上回る展開ではロングボールとセカンドボールの回収に切り替える柔軟性も持ち合わせる。組織的なカバーリングを重視した守備の連係も特徴の一つである。チームの根底にあるのはモットー「明るく前向きに」と、①常に全力で取り組む、②人から応援される生活をする、③サッカーを楽しむ、という3つの理念である。
主な実績
| 大会 | 実績 | 備考 |
|---|---|---|
| 全国高校サッカー選手権 | 通算2回出場(2019年度・2024年度) | 2024年度(第103回)は1回戦で明誠に6-3で選手権初勝利、2回戦は前橋育英とのPK戦の末に敗退 |
| 全国高校総体(インターハイ) | 通算2回出場(2002年度・2025年度) | 2025年度は全国1回戦で秋田商とのPK戦の末に敗退 |
| 2025年度インターハイ愛知県大会 | 初優勝(5試合20得点0失点) | 全国大会出場は2002年度以来23年ぶり2回目 |
| 2025年度 第104回全国高校サッカー選手権愛知県大会 | 準優勝 | 決勝は東海学園と1-1からのPK戦の末3-4で敗れる |
| 高円宮杯 愛知県1部リーグ | 2025年度優勝 | プレーオフ(参入戦)を勝ち上がりプリンスリーグ東海へ初昇格 |
| 高円宮杯 JFA U-18プリンスリーグ東海(2026・第9節終了時点) | 10位(10チーム中) | 0勝0分9敗・勝点0(前半戦) |
チームの歩み
雌伏の時代と2002年度インターハイ初出場
名電サッカー部は長く愛知県内の壁に阻まれてきたが、2002年度の全国高校総体(インターハイ)愛知県大会で準優勝(当時の愛知県は全国大会に2枠を有していた)し、これが同校にとって初の全国大会出場となった。
2019年度 選手権愛知県大会初優勝
2019年度(第98回)全国高校サッカー選手権愛知県大会で初優勝を果たし、創部51年目にして選手権初出場を決めた。全国大会は2019年12月31日の1回戦(NACK5スタジアム大宮)で筑陽学園(福岡)と対戦し、前半アディショナルタイムの1点に泣いて0-1で敗退した。
2024年度 選手権初勝利とPK負け
2024年度(第103回)は5年ぶり2度目の選手権出場。1回戦では明誠(島根)を相手に29分から67分にかけて前後半をまたいで6連続ゴールを記録し、6-3で選手権初勝利を挙げた。続く2回戦では前橋育英と対戦し、2-2からPK戦の末に5-6で敗れた。
2025年度 インターハイ初優勝とプリンス初昇格
2025年度はインターハイ愛知県大会を5試合20得点0失点の完全な内容で初優勝し、全国大会出場は2002年度以来23年ぶり2回目となった。全国1回戦では秋田商と対戦し、1-1からのPK戦3-5で敗れている。秋には第104回選手権愛知県大会でも決勝に進出したが、東海学園と1-1からのPK戦3-4で準優勝に終わった。リーグ戦では高円宮杯 愛知県1部リーグを初制覇し、12月のプリンスリーグ東海プレーオフ(参入戦)へ進出。1回戦でFC岐阜U-18とPK戦の末(0-0・PK5-3)に突破し、決定戦では四日市中央工業に4-3で勝利して、2026年からのプリンスリーグ東海初昇格を決めた。
育成システム・指導体制
指揮を執るのは宮口典久監督である。2000年(平成12年)にコーチとして着任し、2013年に監督へ就任した「名電一筋」の指導者で、部公式のスタッフ一覧にも監督として名を連ねている。創部は1968年(昭和43年)。2019年に選手権へ初出場した際に「創部51年目」と報じられており、この年数と一致する。
練習拠点は愛工大名電高等学校総合運動場(愛知県春日井市熊野町)と瑞若グラウンド(名古屋市千種区北千種)の2か所である。総合運動場は土のグラウンドであり、全国大会やプリンスリーグの多くが芝で行われる中、サーフェスの違いという課題を抱えている。
環境面では学内に接骨院が設けられている。名古屋市が高校生の医療費を無料としている制度を活かし、練習後すぐに学内でケアを受けられる体制を整えている。
コンディショニングを支えるスタッフも手厚い。部公式のスタッフ一覧によれば、部長の板倉進、宮口監督のもとに、コーチの青山喜典・工藤吉之、GKコーチの浅井文崇に加えて、トレーナー3名(鈴木貴仁・森田誠・石神広基)とフィジカルコーチ1名(前田充範)が名を連ねる。さらに学生コーチ3名・学生マネージャー7名が加わり、高い強度を要求するスタイルを一年間支える体制が組まれている。
2024年12月から2025年1月にかけては、保護者会主体のクラウドファンディングを実施した。第103回選手権に向けた強化合宿・遠征費用、全国大会用トレーニングウェアの購入、芝グラウンドでの練習機会確保を目的に、目標100万円に対して支援者138名・1,242,000円を集めて達成している。
また、練習拠点である神領グラウンド(総合運動場)を地域の子どもや団体に無料開放する「オープングラウンド」にも取り組んでいる。
近年入部する選手の前所属には、愛知FC一宮、FC.フェルボール愛知、刈谷81FC、愛知FC U-15、一宮FC、名古屋FCといった愛知県内のクラブが並ぶ。
輩出した主なプロ選手・OB
浦上浩生(ボルクバレット北九州/Fリーグ)
2007年度卒業。名古屋オーシャンズを経て湘南ベルマーレでプレーし、現在はボルクバレット北九州に所属する。
堀尾郷介(中部大学サッカー部 監督)
2008年度卒業。鹿屋体育大を経て、2017〜2019年に名古屋グランパスでデータ分析コーチを務めた。その後2020年に中部大学サッカー部のヘッドコーチ、2021年に同監督へ就任している(部公式サイトのOBページによる)。
その他のOBとしては、ビーチサッカー日本代表に選出された経歴を持ち、ヴィアティン三重BSでプレーする鳥居祐希(2007年度卒)、GKとして愛知FC一宮から名電を経てHonda FCへ進んだ安原哲平(令和2年度卒)、マルタ、インドネシア、タイなど海外リーグでプレーしてきた佐野渓(2009年度卒)、FC京都BAMBなどでプレーした後、2004〜2017年に滋賀県立野洲高校の外部GKコーチを務めた野田幸宏(1998年卒・GK。野洲高校は2005年度の第84回全国高校サッカー選手権で優勝している)、大学生マネージャー・広報としてチームを支え、2021年から愛知県サッカー協会に勤める山下真歩(2017年度卒)などがいる。
2026年W杯日本代表26名に同校OBの選出はない。
補足:プロ選手・指導者の所属は異動により変動する。最新の情報はJリーグ公式サイトなどでご確認いただきたい。
2026年の注目選手
プリンスリーグ東海の舞台でも、下級生時代から選手権・インターハイの愛知県大会で表彰されてきた選手たちが中心となって戦っている。
| 選手 | 学年・ポジション | 前所属 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 杉本悠悟 | 3年・FW | 名古屋FC | 2026年プリンス東海チーム最多タイ3得点/2025年度インターハイ愛知県大会ベストイレブン/2025年度第104回選手権愛知県大会ベストイレブン/第103回選手権愛知県大会(2024年度)新人王 |
| 大澤俊哉 | 3年・MF | FCフェルボール愛知 | 2026年プリンス東海チーム最多タイ3得点/2025年度インターハイ愛知県大会ベストイレブン |
| 中根陽向 | 3年・MF | 刈谷81FC | 2025年度第104回選手権愛知県大会ベストイレブン(DFとして選出。ゲキサカの登録ポジションはMF)/第103回選手権愛知県大会(2024年度)新人王 |
| 小林柊斗 | 3年・GK | FCフェルボール愛知 | ― |
| 竹本海里 | 2年・MF | 刈谷81FC | 2025年度第104回選手権愛知県大会新人賞 |
| 近藤圭悟 | 2年・DF | 愛知FC U-15 | 2026年プリンス東海第6節・帝京大可児戦で得点 |
| 岩田清太郎 | 2年・FW | 一宮FC | 2026年プリンス東海第7節・東海大翔洋戦で得点(90+5分) |
※学年・ポジション・前所属はゲキサカの選手登録(2026年8月時点)による。卒業生は含めない。
2026年 プリンスリーグ東海の得点者
| 選手 | 得点 | 内訳 |
|---|---|---|
| 杉本悠悟 | 3 | 第2節・清水エスパルスユース戦37分/第4節・浜松開誠館戦88分/第6節・帝京大可児戦33分 |
| 大澤俊哉 | 3 | 第1節・静岡学園戦8分/第7節・東海大翔洋戦8分/第8節・富士市立戦67分 |
| 近藤圭悟 | 1 | 第6節・帝京大可児戦74分 |
| 岩田清太郎 | 1 | 第7節・東海大翔洋戦90+5分 |
→ 4選手の得点を合計すると8得点となり、チームの総得点と一致している。
2026年プリンスリーグ東海 前半戦の戦績
| 節 | 日付 | 対戦相手 | スコア | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 第1節 | 4/4 | 静岡学園 | 1-6 | ● |
| 第2節 | 4/11 | 清水エスパルスユース | 1-2 | ● |
| 第3節 | 4/18 | 藤枝明誠 | 0-5 | ● |
| 第4節 | 4/25 | 浜松開誠館 | 1-7 | ● |
| 第5節 | 5/2 | 藤枝東 | 0-3 | ● |
| 第6節 | 5/5 | 帝京大可児 | 2-3 | ● |
| 第7節 | 5/9 | 東海大翔洋 | 2-4 | ● |
| 第8節 | 6/13 | 富士市立 | 1-3 | ● |
| 第9節 | 7/5 | 三重 | 0-1 | ● |
→ 総括:第9節終了時点で0勝0分9敗・勝点0、8得点34失点(得失点差-26)でプリンスリーグ東海10位(10チーム中)。初挑戦のプリンスリーグ東海で開幕から9連敗という洗礼を受ける前半戦となったが、第2節・清水エスパルスユース戦(1-2)、第6節・帝京大可児戦(2-3)、第9節・三重戦(0-1)と1点差の試合も増えてきている。後半戦は9月5日の第10節・静岡学園戦から再開する。最新の順位はプリンスリーグ東海で確認できる。
※試合結果・順位は本サイトの順位データ(毎日自動更新)およびJFA公式記録・高校サッカードットコムと照合済み(第9節終了時点)。
2026年のその他の公式戦
令和7年度 愛知県新人戦(新人選手権大会・2026年1月)では、1回戦で愛知産大三河に1-0、2回戦で中部大春日丘に2-0と勝ち進んだが、ブロック決勝で岡崎城西に0-2で敗れた。
令和8年度インターハイ愛知県予選では、2回戦(初戦)で同朋に1-3で敗れ、前年王者が姿を消す結果となった(2026年5月17日)。2026年度の愛知県優勝は豊川である。
夏には金沢ユース(U18)サッカー大会2026(8月1〜4日)に参戦し、ベスト8まで進んだ。予選リーグでは一条に1-2、星稜に0-1と2連敗を喫したが、中央学院に3-2で勝利して決勝トーナメント進出。決勝トーナメント1回戦では金沢に2-0で勝利したものの、準々決勝で九州文化学園に0-3で敗れた。
プリンスリーグ東海の後半戦は9月5日の第10節から12月5日の第18節まで戦われる。